河﨑秋子「ともぐい」1054冊目

すごく迫力のある作品でした!獣臭い山育ちの漁師、人間らしい情を知らず獣たちに恐れられる存在。「白鯨」みたいに最後まで猟師としての人生を全うするのかと思ったら、日本は日露戦争へ突き進む時代、懇意にしてくれていた獲物の買い手は没落し、自分も熊に逆襲されたとき重いけがを負い、生活に大きな変化が生まれていきます。その中で、主人公自身の人生観が変わっていくのがちょっと新鮮です。

めとった異形の女は、彼の女房としての生活に収まりきることなく、最後まで山の生活を全うするのは名前も与えられない飼い犬だけ。ハードボイルドだ!

こんな小説を書ける女性ってカッコいいです。彼女の描くほかの男たちにも興味がでてきました。(女をどう描くかも興味津々です)

ともぐい

ともぐい

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