佐藤正午「幼なじみ」234

岩波書店の「Coffee Books」というシリーズの1冊として出版された、わずか68ページで挿絵のたくさん入った、大人の絵本って感じの書き下ろしです。

幼なじみの女性のニュースを見たことをきっかけに、時間をさかのぼって彼女との思い出を徐々にたどっていく、という流れは、最近の著者のものではないかと思ったら、やっぱり2009年2月に出た新しい作品でした。

なつかしく、さりげなく、あたたかく、かなしいお話。

でも「さかのぼる」という時間の流れは、自分が年をとって未来より過去が長くなるにつれて、避けられなくなっていくんでしょうね。

ビンボーで才能も何もなくても、「いつか」「もっと」と目を輝かせていたころの自分が羨ましくなってきます。

以上。