井出明「ダークツーリズム~哀しみの記憶を巡る旅~」518冊目

負の遺産”に行く目的でどこかに出かけることはめったにないけど、行った先にそういうのがあるってわかったら必ず行きます。沖縄も、ベルリンも、広島も。一度だけボランティアツアーで福島に行ったのも、本当のことは自分の目で見て自分の足で歩いて知りたい、というのが強いから。

でもたいがい、目的地では楽しく過ごすのが第一の目的なので、この本の「第一の目的がダークな場所」というのはちょっと違うかもしれない。ダークな場所を見に行こう、というのが日本では難しい気もするけど、私みたいに楽しいツアーにダークなものを持ち込むのはもっと「興ざめ」感が強くて、もっとダメかも。

でも見たいんだよね。光があれば影があるので、私は両方見たい。明るいはずの場所で感じられる哀しみがあれば、その土地の悲しい記憶もたどりたくなる。できることなら、そういう複雑で美しい気持ちをほかの人たちにも感じてほしいと思う。だから、ダークも含むツーリズムのことがもっと知りたい。

この著者のダーク・ツーリズムの写真集もあるらしいので、そっちも見てみたいと思います。

齊藤成人「最高の空港の歩き方」517冊目

旅行が好きで、年がら年中空港にも行く私ですが、今まではあまり空港内の設備には気を留めないことが多かった。観光大好きで、少しでも空港滞在時間を短くしようとしてたから。それでも、遅延や乗り継ぎでどうしても長く滞在することがある。先日、台風で函館行きをキャンセルしてとどまった札幌で、外を歩こうにも雨がひどくなってきたので、出発の6時間前に新千歳空港に行ったら、さらに2時間遅延したので、つごう8時間も滞在したんだけど、まったく退屈しなかった。むしろ、もっと時間があればよかったのに・・・というくらい、あまりの充実ぶりに心底驚くという経験をして、改めて空港の楽しさを痛感しました。で、おもむろに興味が出てこの本も調達してみたという次第。

新千歳空港には、ちなみに、温泉(休憩室や宿泊室まである)や映画館があるし、ロイズやサンリオのミュージアムもあるし、ラーメン博物館まである。搭乗ゲートにもフードコートがあって、白い恋人ソフトクリームだって食べられます。

そのていどの興味の出てきた人にぴったりの、空港学?入門書として相当よくできた本です。新千歳みたいな空港のエンタメ化の背景や、空港の仕組み、成り立ち、空港で働く人たち、日本や世界の素晴らしい空港の話など、マニアではない一般人にも興味深く楽しく読める本です。

もっともっと知りたい気もするけど、本を読むより、私はやっぱりあちこちの空港に自分で行ってみたいな。そしてこれからは、もう少し長めに滞在して、もっといろんなものを見たり経験したりしてみよう、と思うのでした。

旅行好きな人ならぜひ一度読んでみてほしい、良書でした!

角田陽子「名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上品な気配り」516冊目

「おもてなし」って、いろいろだなと考えさせられました。優しくあたたかく迎えること、というのはとても大切なおもてなし。コンシェルジュというお仕事は、さらに、夢を叶える、日本での滞在を忘れられないレベルに引き上げる、というハードルの高いミッションなんだなと思います。仕事というものを、画一的にすることで効率を上げるべきと考えるとこういうお仕事はありえないけど、一生は一度だけ、一瞬一瞬を大切に生きようと思う人にはすごく大切なこと。私は仕事として、ビジネスとして、人を幸せにすることに携わっていけたらなと、改めて思いました。

数々のエピソードを読むうちに、著者の心構えに近づいていけそうな本でした。

 

えらいてんちょう「しょぼい起業で生きていく」515冊目

Kindle Unlimitedをとうとう申し込んでしまった。すると、こうやってサラサラと何冊でも本が読めるんだな。なんかちょっと怖い。

この本も、単行本を定価では買わなかったかもしれないけど、Kindle Unlimitedのおかげで、ハイボール飲んでる間に読んでしまいました。

面白い。なんか心地よい。私はそっち側の人間だ、と改めて思う。大学を出て就職しなきゃいけないのかー、って、授業さぼってぶらぶら歩きながら考えてたのに、いつの間にかこんなに長い間会社員をやって、なんとなく見方によってはバリバリとやってるように見えなくもない。やっかみを受けることもある。でもそういうのが耐えられなくて、どんどん具合が悪くなってきてる。こんだけ働いた(いや大して働いてないけど、社会人っぽくふるまってきた)から、もういいだろう。私もそっちに逃げるよ。

実際まもなく自由になろうとしていて、ひょっとするととりあえず会社作るかもしれないんだけど、「会社創業なんたら」は捨てた。とりあえず私は・・・この店長がやってる店に一杯ひっかけに行ってみよう。うん。

森本作也「SONYとマッキンゼーとDeNAとシリコンバレーで学んだ グローバル・リーダーの流儀」514冊目

タイトル長いよ!
一見すると、日本のイケてるメーカーの社員として世界を回った後留学してベンチャーという、初めて聞くわけではない経歴なんだけど、この人はサウジアラビアやドバイ、フィンランドといった、日本と大幅に違う文化の国でそれぞれ1年以上の長期間、勤務してたところが出色。
職種としてはビジネスディベロップメントのようなんだけど、ピープルマネジメントの専門家でこの本もその方面の本だなと思いました。
面白かったけど、まさか小説を読まされると思わなかったので(「実践ビジネス英語」スキットの和訳みたいな)ちょっとストーリーには入り込めませんでした。

照井邦子「恋するように生きなさい」513冊目

面白かった。

波乱万丈、というのはこんな人生のことを言うのかな、と思います。

ご自身の意思を強く持ってもいるけど、周囲の人の紹介や勧めで大きく運命が動いていく。おおむねそれは助けになっていて、びっくりするくらいの結果をもたらすけど、たおれるときも一緒。この方は写真を見るだけで、明るく温かい魅力的な人柄が伝わってくるし、周囲のたくさんの人たちにいかに愛されてきたかもわかります。周囲の強い人たちや時代の運命に巻き込まれていくのも、そういう魅力をもった人たちの運命といえるのかもしれません。

朝の連続テレビ小説の題材にしたら、きっと見ごたえがあるだろうなぁ。主演は、そろそろ二階堂ふみとかどうかしら・・・。

照井邦子「恋するように生きなさい」

面白かった。

波乱万丈、というのはこんな人生のことを言うのかな、と思います。

ご自身の意思を強く持ってもいるけど、周囲の人の紹介や勧めで大きく運命が動いていく。おおむねそれは助けになっていて、びっくりするくらいの結果をもたらすけど、たおれるときも一緒。この方は写真を見るだけで、明るく温かい魅力的な人柄が伝わってくるし、周囲のたくさんの人たちにいかに愛されてきたかもわかります。周囲の強い人たちや時代の運命に巻き込まれていくのも、そういう魅力をもった人たちの運命といえるのかもしれません。

朝の連続テレビ小説の題材にしたら、きっと見ごたえがあるだろうなぁ。主演は、そろそろ二階堂ふみとかどうかしら・・・。

デービッド・アトキンソン「日本人の勝算 大変革時代の生存戦略」512冊目

この人の本は何冊か面白く読んでいるので、最新の意見を聞いてみたいと思って読んでみました。

最低賃金を上げるというのは、実現できれば素晴らしい。ただ、その判断ができるのが、最低賃金を決められる官公庁の人たちだったり、企業トップだったりするという事情から、変わるのは相当難しいだろうなぁと思う。今までずっと、かしこい判断ができずに現状をもたらした人たちが、どうすれば考えを改めるのかな?

あと、生産性というと、昔は相対的に若い社員たちがガンガン付加価値をたくさん生み出す仕事に邁進してたけど、今は給料と年齢が高い社員や役員たちが、ほとんど付加価値を生み出さない”仕事”をしてる。彼らは、自分たちも若い頃は死ぬほど働いてたから、もう楽してもいいと思ってる。それは事実だと思うけど、ガンガン働く若い人たちはもうあまり入ってこない。歳をとっていて付加価値を生み出さない人たちは、楽してお金をたくさんもらうのが普通だと思ってる(自分たちの若い頃も大先輩はそうだった)ので、反省などする気はない。

だから私はあまり楽観的にはなれないです。時給の安い仕事をしている若い人たちは、うんとお金のお勉強をして、外国の口座でも保険でも仮想通貨でもなんでもやって、別のところでがっちり儲けるといい。年取って勉強しない人たちより、自分たちにふさわしい報酬を勝ち取ってほしい、と思います。

本当に、どうするのが一番いいんでしょうね。極端な贅沢を減らすことも、生きていけないような貧乏も、せめて努力で変えられるといいのに。