いいな、こういう本格ミステリー。ガッツリとくる読み応え、堪能しました。
説得力のある仕掛けとしっかりとした構成力。読者としてミステリーを長年楽しんできた人にしか書けない(と思う)お楽しみがたっぷりの作品でした。さすが、(今なぜ)Book1stイチ推し。
今なぜと問いたくなるのは、この小説の初版が1994年、23年も前だから。
今では成立しないような、個人情報の閲覧の場面がたくさんあったり、今なら簡単に街頭カメラで足取りが割れそうなところで行き先を見失ったりと、今とは違う推理の進め方が懐かしい。
当時の大学生の語彙(「ボイン」とかw)も、なんかオッサンっぽくっておかしい。
現実をあまり意識してしまうと、この先街頭カメラをハックするようなサイバー犯罪しか書けなくなっちゃいそうだけど、それならそれで、時代物として昭和が舞台のミステリーなんかを書いてもらってもいいんじゃないかな〜と思います。