「合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本」837冊目

去年から帳簿をつけはじめた自営業の私。たまに人から「会社組織にしないの?」と言われる。するなら、人は雇わず一人でやるので合同会社だ。会社にした方がお得な部分と、しない方がお得な部分があるので、利益がどれくらいになったら会社にするといいのか?前に何かで見たら「利益が900万円」って言ってて、一生個人で大丈夫と思ったんだけど、その裏取りがしたくてこの本を読んでみました。

結果:そういうことは書いてない本だった

もし作るとしたら何をしなければならないか、とてもわかりやすく詳しく書いてあって、親切な本だけど。

会社設立の手続きはMoneyFowardもfreeeもほぼ0円で(どこでやっても必要な印紙代や手数料以外)できることを宣伝してるので、この本に書いてある「紙の定款」よりもっと簡単にできそう。大事なのは会社の中身ですね・・・。

利益だけじゃなくて、補助金の申請が会社組織しかできないことがあるし、会社としか取引しない大企業もあるので、いつか会社にする必要が出てきたらまた読んでみようと思います。

 

村田喜代子・酒井駒子ほか「暗黒グリム童話集」836冊目

素晴らしく美しい本でした。

小説家6人×画家6人の組み合わせで、グリム童話をベースにした新作の怖い童話を作り上げています。文字数も絵の数もたっぷりとってあるので、美しいだけじゃなくてストーリーも深くてすごく読み応えがあります。

村田喜代子はそもそも私の愛読している作家ですが、こちらも大好きな酒井駒子の可憐で暗い絵がともなって、60分くらいのアニメ映画をフルで見てるようです。

中でも多和田葉子の「ヘンゼルとグレーテル」がとても面白くツボでした。ダークというよりブラックで、童話から教訓を導き出そうとする大人たちをおちょくるような皮肉が利いていて。

さいころから見てた宇野亜喜良が今も刺激的な絵を描いてることにも驚きました。

ほんとに、素敵な本です。

 

アガサ・クリスティ「未完の肖像」835冊目

「春にして君を離れ」に続いて読んだ”メアリ・ウェストマコット”名義の小説。

重かったなぁ。若くて純真な女性の一途さが傷つくと、きっと誰しもこんな経緯をたどるんだろうと思う。そこから枝分かれして、人を赦せるようになったり、人をもっとよく知るようになったり、自分を責め続けたり、相手を憎むだけの人生を送ったり。アガサは賢明な自分の母と祖母を思い返すことで、人をもっとよく理解するようになり、それ以降の小説を書いていった・・・と想像してみる。この小説に書かれたシーリアを著者と同一視しすぎてはいけないとわかってるけど。

世の中には、人にも物にも愛着を持ち続ける人と、そのときの衝動で簡単に頭を切り替えられる人がいる。いじめや犯罪を起こしても自分が正しいと信じて疑わないという心情を保てる人に、悪いことだと納得させるのは難しいのだ。

自分も若いころはずいぶんいろんなものに執着してしまった。今もそういうところがあるかもしれない。でも、ある程度手放さないと生きていけないし、手放せるようになってきたと思ってる。それでもこの小説を読むと、自分を主人公シーリアに重ねて、降りかかった不幸や自分を傷つけた人のことを思い出してしまうのは、まだまだ成長しきれてないってことなんだろうな・・・。

あと4冊、メアリ・ウェストマコットの小説をまだ読んでないけど、なかなかの重さなのでちょっと間を空けよう・・・・。

 

東田直樹「世界は思考で変えられる」834冊目

最初は自閉症の人の内側の気持ちが知りたくて読んだけど、この人の文章が好きになって何冊か読んでます。反射的に人とうまくやれる人は深く考える必要がないかもしれないけど、不器用な私は、なぜうまくいかないのか考える。そんなときに、考え続ける東田さんの考えを聞いてみたくなる。

彼の書くものに目を開かされる感じがするのは、すごくフラットに観察できる人だからかな。感情が高まってどうしようもないとき、そんな自分を外から見たら、感情だけが高ぶっていて事実関係を見てないことに気づく。そういうところまで、この人は見てて、どうすれば冷静に、前向きに対処できるか、的確なアドバイスをくれます。

今ちょうど考えてたことについてもヒントをもらいました。ありがとう東田さん。

 

 

アリスン・モントクレア「王女に捧ぐ身辺調査」833冊目

前作につづいてこちらも読んでみました。

1作目は、二人の主役のバックグラウンドを読むのが楽しかったけど、2作目の前半は説明が必要以上に詳しく感じられてちょっと飛ばしたくなってしまった・・・でも、ストーリーがぐいぐい動き始めてからは引き込まれて、最後まで面白く読めました。

実在の、あの今ホットなエリザベス女王さまとフィリップ殿下のロマンスを取り上げて、こんなロマンチック?ミステリーが書けるなんて・・・いい国だなと思ってしまいますね。続編かどうかわからないけど、著者サイトを見てみたら他にも数冊既刊のようなので、和訳が出たら引き続き読んでみようと思います。

 

堂場瞬一「ラスト・コード」832冊目

知り合いが読んでいたので、初めてこの作家の小説を読んでみる。

ミステリーというより警察小説かな?

手練れだなぁ。まったく無理のない、流れの良い文章、ストーリー運び。ここまで”引っ掛かり”のない小説も珍しいくらい、面白くするする読める。しかも書くのが早くて、もう100冊も書いているらしい。すごいなぁ。

人間像系もしっかりしてるので、この小説に登場する”はみだし刑事”筒井と、天才少女美咲のその後が知りたくなってくるけど、この小説はシリーズものではないらしい。改めて、シリーズものも読んでみよう。

 

川口加奈「14歳でおっちゃんと出会ってから、15年考え続けてやっと見つけた『働く意味』」831冊目

テレビでこの人の活動を紹介してるのを見た。「プロフェッショナル」かな?

子どもといっていい年齢でホームレスということに出会って、即ボランティアを始め、その後ずっと彼らを知り、彼らのことを発信し、彼らと共存するための活動だけに邁進している女性。すごいなぁと思うし、脇目も振らない一途さがまぶしいです。こういう活動を役所でやれたらどんなに大規模に展開できるか・・・。自転車の問題もホームレスの問題も、あらゆる都会に発生しうる問題だ。少なくとも大阪の問題は東京の問題でもある。東京には東京の支援団体がいくつもある。こういう実践の共有とか学び合いみたいなものも、やってるのかな。

こういう本を読むと、「何とかしなければ!」という気持ちがやたら高まってしまうけど、頭が熱くなってるときは判断を誤ることが多い(私の場合)ので、しっかり記憶にとどめていつか何か建設的なことにつなげられたらと思います。