三島由紀夫「音楽」366冊目

三島由紀夫が大衆雑誌に書いたこういう小説って、ほんと面白い。
人間の心より奥の体の芯みたいなところに眠ってる、性というものを深く掘り出してきます。
いつものように、若干上から目線。読者が非インテリであることを前提として、読後感は軽く抑えてあります。しかしそれが読んでて心地よい。私はMか?いや、作者がくやしいくらい頭が良くて、人間を転がすことに慣れすぎてる。
こんな調子で、百発百中のヒットを飛ばし続けてたんだろうな。
その一方で、読者も雑誌も小説そのものも、どこか馬鹿にしてる。何もかもが自分の思い通り(ノーベル文学賞以外は)・・・という中で、何が彼を最後の瞬間へ駆り立てたのか。・・・やっぱり随筆とかも読んでみようかな。