永井玲衣「水中の哲学者たち」815冊目

哲学って「いかに生きるべきか」を難しい顔で死ぬまで考え続ける学問?(違ってる気もする)

この本の中で、小学生が「人はなんで死ぬか」といったテーマを好んで選ぶと書かれてるけど、私も小さいころずいぶん考えて、「人生はつぶすためのヒマである」って答にたどり着いた。それで納得してしまって、人生について、みたいな大きなテーマはあまり考えなくなった。もっと、どうすれば好きな人に嫌われないかとか、目先のことをずっと考えてた気がする。

半隠居の今はますます「この後の何年~何十年か、どうやってヒマをつぶすか」だけが自分の考えのメインになってる。でも・・・もしかしたら、実現しようがしまいが、もっと高邁な考えを持っていた方が健康で賢く優しく生きられたんだろうか?

人と大きなテーマで語り合うことの意義が、まだ私にはイメージできてないのかな・・・。(小学生より幼い感想文になってしまった)

 

「地球の歩き方 世界遺産~絶景でめぐる自然遺産完全版~」814冊目

読んで感想を言う本じゃないことはわかってますが。ぱらぱら全ページを眺めてるのが楽しかった~。心も視界もぱーっと広がる気がしますね。

行った世界遺産が少し、行きたい世界遺産たくさん、絶対いけない世界遺産(立入禁止)もいくつか。いつか行けそうな場所は多いけど、南米やアフリカを目指すハードルはますます高く感じられる。

でも遠い方がいいわけじゃないのだ。何年か前は、できるだけ遠くに行っておきたいと思ってたけど、今はなるべく近くの美しい場所をじっくり見たい。だいいち、同じ都内の小笠原なんて、近いけど行ってくるのに2週間かかる・・・中国や東南アジアよりかかる日数は多い!でもそろそろ計画したいな。海外から観光客が続々と来はじめる前に行けたらいいな・・・。

 

阿津川辰海「蒼海館の殺人」813冊目

予想外に面白かった。最近、できのいいミステリーを読んでも、トリックの矛盾のなさ(なさです、なさ)ばかりが気になってしまうことが多くて、素直に楽しく読めてなかった気がする。文章はどこか堅くてちょっと読みにくい。動機は謎だけど、犯人像はよく描けているように思う。トリックは、「なんとか館」ものはそもそもありえない建築物や土地を想定してる、という点を受け入れれば面白いほうじゃないかな。

多分、ポイントをあげつらっていいとか悪いとか言っても、「面白いと感じるかどうか」は語れないんだろうな。

この人の本はもっと読んでみようと思います。なんとなく、わりと好き。

(以下、章タイトルになったミステリーの原作について)

  • 春にして君を離れ/アガサ・クリスティ・・・えっそんなタイトルの本あったっけ。慌ててポチる。
  • 幽霊はまだ眠れない/結城昌治「温情判事」に収録
  • 災厄の町/エラリィ・クイーン
  • 生ける屍の死/山口雅也 ※最高に面白かった
  • 再会、そして逆転/どうやらゲーム「逆転裁判」第2話らしい
  • トライアル&エラー/アントニィ・バークリー
  • 斜め屋敷の犯罪/島田荘司
  • 鍵孔のない扉/鮎川哲也
  • 法廷外裁判/ヘンリイ・セシル
  • 死者はよみがえる/ジョン・ディクスン・カー

あー、読まなきゃいけない本がたくさんあって忙しいわ・・・(嬉しそうに)

 

「地球の歩き方 世界のすごい島300」812冊目

読んで感想を書くような本ではないけど。コロナ禍のいま、かなり旅したい気持ちを満足させてくれました。都市なら空港からの交通の便も良くて行きやすいけど、どこの国も離島はアクセスが悪い。なかなか行けない場所ほど、行きたくなるし、写真や情報を見ると胸が躍ります。

といっても「アイスランド」みたいな島国も載ってるので、そういう島なら首都まで飛んでいけばいいだけ。(そうは行ってもアイスランド遠いけど)

今はやっぱり、国内の世界遺産をめぐるのがベストな気がするな。国内の観光客はじゅうぶん多いけど、海外の団体客が来ないうちは、かなり回りやすいから。1つ1つ、今年のうちに回ってしまおう。(そのための本はまた別途)

 

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド」811冊目

タイトルが最高だと思って借りました。著者はモンティ・パイソンジョン・クリースの元で仕事をしてたことがあるとのこと。知的でドタバタで、とてつもなくバカバカしい…というモンティ・パイソンのセンスが確かに感じられる気もします。

全体的には、私にはテンションが高すぎて乗り切れなかったり、1979年に書かれてからかなり年月がたってるせいで、細かいところで考え込んでしまったりすることがあって、「難解」と言っても過言でない気がします。これ、日本だったら絶対マンガにするな。マンガ慣れしている私には、この複雑な表現は絵がないと入っていけない。読んでる途中で映画化されてることに気づいたので、それを見てみることにします。

とはいえ、じわじわ~~~っとくる笑いがあって、すごく好きな部分がいくつかあるので書いておきますと:

・宇宙人に向かって自己紹介をする場面で。22章「名前はデント。アーサー・デントです」「いいかい、デントアーサーデント」(一部改変してます)

・重い鬱病のロボットが、1秒間に数百万匹のひつじを数えたあと、自分でスイッチを切って休んだ。(あとで探しても見つけられなかったので、実際の表現はちょっと違うと思う)

 

原田マハ「楽園のカンヴァス」810冊目

面白かった。先を急いで読み切った。あまりにも、うまいこと偶然や運命が重なったり、関係者の情熱がすごすぎたりするし、やけにロマンチックすぎたりするところは、面白い少女マンガみたいな感じです。世の中には、本当らしさを追求して、読む人に心の痛みを与えて現実を直視させる作品と、読んでいる間は願望を成就させてくれて、意外性があっても快適な結末に落とし込んでくれる作品がある。これは後者なのだ、原田マハ作品はいつも。

私はあとちょっとだけでいいから、「人間は簡単に割り切れないくらい深く複雑だ」と感じさせてくれる部分が欲しかった気もするけど、面白かったからいいか…。

 

 

岸政彦「リリアン」809冊目

この人の小説は、ものすごく好きだけど、とてつもなく寂しい気持ちになる。

「図書室」は病弱だった子ども時代に、一人で部屋の窓から外の雨を見てたときみたいな気持ちになったし、「リリアン」はよくわからないまま付き合い始めた人と、なんの未来も見えないまま布団のなかで夜更かしや朝寝坊をしていた週末みたいな気持ちになった。この人の文章の世界に浸っているとき、みんなどんな気分なんだろう。息苦しくなってるのは私くらいなのかな。

会話のあいまいさを、そのまますくい取って少し笑い合えるような関係は、とてもやさしい。その機微は私には難しくて、「よくわからない」って答えたり笑い飛ばしたりしてしまいそうだ。そこをするっと流せる人間関係に、憧れるようでちょっと怖い。何かに埋もれてしまいそうで。・・・私は、人の話をさらさら聞き流して適当な相槌を打ってることは多いけど、それと同じなんだろうか、違うんだろうか。楽器を演奏するのは楽しいけど、ジャズのインプロビゼーションは無理、と思う私は自分で思ってるより杓子定規な人間なんだろうか。

みんなこの本を読んでどんな風に思うのかな・・・。

リリアン

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