へー。激しいなぁ、この本は、「コンビニ人間」よりずっと。
何しろ、10人産めば1人殺していい、だもんね。
ただし、筆致はあくまでも静か。カズオイシグロの「わたしを離さないで」みたいな、残酷さがふつうになっている世界。村田沙耶香って人は常に「何がふつうなの?」ということを問い続けている人なのかな。
ただし、殺人の場面は執拗な印象だ。“残酷”みたいに感情のこもった表現じゃなくて、ただ純粋に、子どもが昆虫を解体するように、その作業に熱中し、それが開いていく新しいものに夢中になる。
でも、「コンビニ人間」の方が面白いし、なんか、熱くなりすぎるものを乗り越えたような成熟した感じがあったよ。