石光真清「曠野の花〜石光真清の手記1〜4」413〜416冊目

明治の軍人で、日露戦争前の満州で諜報活動に従事して目覚ましい活躍を残した実在の人物、石光真清の膨大な手記のうち2冊目を読みました。1冊目は生い立ちから諜報活動開始前まで、この2冊目は開戦までの一番スリリングで面白い部分だと思われます。

感想:本当にすごい本だ。
本人語りの実話だっていうんだから。
石光のたくましさは、例えば本田宗一郎とか田中角栄とか、自分一人の力量と人望で一代を築いた豪傑を思わせるんだけど、今の日本にこれほどの大物感を漂わせてる人はあまりいない。今は出る杭が昔と違ってマスメディアやインターネットで日本中にあっという間に知られて、どこへ行ってもすぐに叩きのめされる時代だからかな?
彼の周囲の女たちの逞しさも、ものすごいんだ。日本から満洲に「女郎」として売られながらも、個人の努力で現地の大物に払い出され、その家で頭角を現し、女傑となって若い衆を仕切るたちが、同様に出世したかつての仲間を語るとき、まるで「モルガン・スタンレーで働いてた時の同僚で」かなにか語るように軽やかで、目を回してしまう。

馬賊の晒し首だとか、ロシアによる大虐殺だとか、今の時代ではもう考えられないような世界観(とあえて呼んでみる)の中で物怖じひとつしない日本人が、これほどたくさんいたんだから。日本から満洲に渡って馬賊の頭領になった人も実在したらしい。

誰かこれをアニメ化しないかな。その辺のラノベよりはるかに面白いし、壮大で美しいスクリーンが広がるはず。
あまりに面白いので1冊目と3、4冊目も買いました。これから読んでまた感想を書きます。