また本を読まなくなった私ですが、久々に読み終えたのは、だいぶ前に買って読みかけてたこの短編集。
この人の小説を読んでると神経が落ち着いてきます。
東京とは違う時間の流れが、この人が舞台とする長崎なり福岡なりの九州の小都市にはあるし。バリバリ会社勤めなんか絶対しない人たちと一緒に過ごしている気になって、毎日同じようなものを食べて少ない人数の人の中で暮らすのも別にいいんじゃないか、と思えるので。
だいいち何で人は、自分は、首都を目指すんだろう。なんで「上」とか「中心」とかに向かう指向があるんだろう?甲虫が電灯に集まるようなもんかな。
そんな、承認欲求を「満たす」んじゃなく逆に「別にいいんじゃないの、誰も見てなくても」という気持ちにさせてくれます。
しかし表題の「ダンスホール」は長さの割に登場人物の関わり方が複雑で、珍しくちょっとわかりづらいと思いました。作家と西の語り口がかぶるからかな。
検索したら、久々に長編も出てるようなので、早速購入。また楽しみができました。