高野秀行「謎のアジア納豆」606冊目

面白いに決まっている本を借りて来た。実に面白い。ときどき声を上げて腹の底から笑いながら、ずんずん読み進みました。

だいいち夫婦が犬を連れてタイを旅行するっておかしいでしょう!あちこちのオリジナル納豆とそれを自慢げに見せびらかす人々。普通の人って全員面白い。人間ってほんとうに豊かで愉快だ、という旅の出会いの面白さを、自宅にいながらにして堪能できます。

テーマが納豆ってところがいいですよね。彼のブータンの本はもう少し真面目に読んだけど、この本は寝そべってダラダラ読むのにぴったり。

最近、全然海外に行けないので各国料理を食べ歩いてるけど、旅行記を読むほうが行った気になれますね。まあ五感は食べるほうが刺激になるので、食べ歩きもやめられないけど…。

読み終わったいま、私は猛烈に、自分で大豆を煮てその辺の葉っぱでくるんで納豆を作りたい。無農薬の葉っぱを探しに山へ行きたい。でもその前にまず、スーパーで片っ端から納豆を買ってきて、つぶしたり干したりしてみたい。冷凍もいいんじゃないかなぁ、冷凍した納豆って糸を引かなくなるから炒め物やスープに使いやすいかも。 

私の母は昭和10年生まれで九州の山奥の出身だけど、納豆はいつも食べてたらしい。西の人間は納豆を食べないなんていう迷信?があることは大人になってから知って「は?」と思ったなぁ。母方は見た目が縄文系だから、この本の最後のほうで書いてある「大豆を栽培していた縄文人」の子孫かもしれないしな…

いや、それより何より。私はここ数年、精進料理のおいしさに目覚めて、家では豆乳ときなこと豆腐と納豆ばかり食べている。細胞の生まれ変わりサイクルを考えても、そろそろ私の体は大豆でできていると言っても過言ではないはず。そんな私なので納豆には燃えるのです。さっそく続編「幻のアフリカ納豆を追え!」も読んでみます。