浅生鴨「伴走者」568冊目

面白かった。前半はマラソンの伴走者、こっちはテレビで見たこともあってちょっぴりは想像できたけど、後半のスキーの伴走者は本当に驚き。どちらのストーリーにも心を掴まれてグイグイ読んだけど、

<突然ですが、以下ネタバレ>

どちらも読者が一番期待する幕切れにはしないところは作者らしさなのかな。前半は一位を逃し、後半は順位はともかく二人で寄り添って大会に出場することもなかった。それと同時に、すごく不思議なのが、そんな結末があってもなお、すごくテレビ的なわかりやすさが全体を占めているところ。この著者はNHK広報の頃からTwitterをフォローしていて、想像もできないようなユニークな視点がすごく面白いと思っていたので、小説が、変な言い方だけどすっごく普通でまともなのが意外に思えてしまいました。私が何か変な、ゆがんだ期待をしてしまっていたのかもしれないけど。同じ著者の「アグニオン」というSF小説を読んだときもそう思いました。

ユニークさをとことん味わいたい人はTwitterをひたすら見るか、彼のエッセイのほうを読んでみたほうが良いのかもですね。読んでみます。