タイトルがものものしい感じもします。人間はみんな根源的に死を恐れる部分があると思いますが、年を取って、「とりあえずみんな、死を恐れるひまがあったらしっかり生きるべき。死は生が終わる瞬間のことで、しかも、気にしたら変わるというもんでもない」と悟ってからは、科学的探究心をもって、死そのものや、死に関する自分の感情を見つめなおすことに非常に興味がでてきました。
「看取り」の講座を受けたときや、カンヌ映画祭で最高賞を受賞した「オール・ザット・ジャズ」という映画を見たときにこの著者の話が出てきていて、ずっと気になっていたのですが、このたび初めて借りてみました。死について自分で生まれてこのかた自分なりに考え続けてきたことが、書いてある。そう感じています。
超常現象とか不思議とかカルトとか、誰かが名付けたことには興味はないけど、自分の中にある感情や感じたことが何なのか知りたい気持ちはあります。霊感が強いほうだとか言われると、幽霊も見えないし言葉が聞こえるわけでもないのに?と思うけど、じゃあ自分が感じたものは何なんだろう?…ちなみに、この本では死期がとても近い人たちのそういう感じのことしか書いてないので、私の感じについて解き明かしてくれるわけじゃないんだけど、まだ全部は解明されてないだけで、そうかやっぱり何かあるんだ、と、救われた気がしました。
自分の中の「黒いウサギ」を発見して、さらけ出さない限り、怒りや憎しみにさいなまれ続ける。そうしないと、自分の中にいるヒットラーを退治することができない。という話がとても印象的です。自分が怒るとき、怒りの対象は本当は相手にはない。…そこまでは気づいていたんだけど、それでも私にはまだ、怒りを抑えることはできていません。
もう少し確信をもって、科学的に、死に向き合えるようになって、そういった理解をもっと広げていきたい。そう思っています。