これはすばらしく美しいカラーのイラストと詩文をまとめた本。
文章も美しいし形も美しいけど色使いもすごい。まったく定型的じゃなくて。
テーマの中にはちょっと残酷なものもある。彼女の作品の中で死は友達みたいだ。恐れるべきものではなく、美しさや純粋さに自然にともなうことの一つだ。
後半は文章がほとんどで表紙絵が添えられているだけ。ますます、SF雑誌か少年少女向けの雑誌に連載されてるちょっとロマンチックなショートショートみたいだ。死や病気やケガはときどき現れるけど、自分が傷つけられる恐れも、唐突に美が失われることもない、妖精のいる世界。なんともいえず懐かしくほっとします。やっぱり私たちの世代は、少女まんがの優しさに包まれて育ってきたんだなぁ。
カラー図版の美しさで、これは自分の手元に置いて10年後、20年後にも取り出して眺めたい作品集だなと思いました。
(初出1974~1978年 2010年10月30日発行 1500円)