劉慈欣「三体Ⅲ 死神永生」733~734冊目

読んだ―、読み切ったー。ものすごい熱量の大長編。読み切った私の満足感がこれなら、書き切った作者の達成感はどれほどのものだろう。もう、SFは三体シリーズだけ読めば十分、といってもいいかもしれない。いやもちろん、最近の中国系SFだけでも大変な傑作が連なっているし、私みたいな読書の虫はこれからもどんどん読むわけですが、一つの世界、ではなく一つの宇宙を本の中に作り上げた「三体」シリーズの充実度はほかと比べられないほどで、名作を数冊だけ読みたいという人がもしいるなら、このシリーズだけでも読んでほしいという趣旨です(「だけ」というには膨大な量だけど)

膨大といえば、たとえば司馬遼太郎の小説とボリューム感が近いのかな。司馬遼太郎は読むけどSFは読まない、という人がいたらぜひ読んでみてほしいです。

テクノロジーと革新、血のつながりと他人との情愛、人間たちの協力とと背反、希望と絶望と「死より辛い生」…甘くない未来を、選んだのは結局のところ人間だ、という苦い世界観じゃなくて”宇宙観”。

シリーズ最終巻でもう一度、三体世界の人たちがその後どう生き延びたかを見たかったなぁ。書き切った感はあるけど、やっぱり派生シリーズを書き続けてほしいですね。