富田純明「50歳から個人で行くユネスコ世界遺産の旅」551冊目

さて、これから海外旅行関連の本が続きます。

この本では初心者~上級者の順に旅程(おもに著者自身の過去の旅行ルート)が紹介されていて、最初は個人旅行がまったく初めての人が世界遺産めぐりに挑戦するためにガッチガチに固めたルートがまるでパッケージツアーのように示されます。なんだろう、この、飲み会で偉い人につかまってお説教されてるような気持ち…。?個人旅行って一時期すごく流行ったけど、行先によっては結局現地でいくつも現地ツアーに入らないとたどり着けない観光地も多かったりして、ビザやらホテルやらの確認も含めると、日本発のパッケージツアーのほうがいいんじゃない?というケースも多いと思います。

著者が行った14回の世界一周ルートが、フライトキャリア名とともに提示され、各都市で何を見たか、どんなトラブルに巻き込まれたかなど書かれています。この方の旅程は、これだけ行ってるので行先はバラエティに富んでいますが、どの日程12~18日程度で、何か月もかけて世界を回るルートよりは自分でも実現できそうです。 

町山智浩「アメリカのめっちゃスゴい女性たち」550冊目

この人みたいなのをフェミニストっていうのかな?基本的に女性は強く毅然としたものだと認識してリスペクトしてる。どうも奥さんがバリバリみたいなので、そういう感覚を持つに至ったのか、それとも逆?

このところかなりこの人の本を読んできたけど、これが一番得るものが多かったかも。怖くて変な映画の情報もすごく面白かったけど、この本で取り上げた女性たちはみんな本当に素敵なんだもん。爪の垢を煎じさせてほしいし、身近にいてしょんぼりしてる私を照らしてほしい。

彼女たちに共通する部分があるとすれば、さまざまな苦労を包み隠さず話すこと、かな。人に黙って苦労して偉大になった人もたくさんいると思うけど、自分自身がオープンであることは、人から信頼されるうえで、私が今まで思っていたよりずっと大事なのかもしれない。

なんか最近の自分はイマイチだな~というときに、こういう本を読むと、不思議に元気が出ますね。明日もがんばろう。うん。 

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

  • 作者:町山 智浩
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2014/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

町山智浩「知ってても偉くないUSA語録」549冊目

勢いで借りてよく全部読むよなぁ、私。

この本は映画でも音楽でもなく、USでの暮らしの中で見えてくる最新の「US的だけど日本の人が知らないこと」「知ってるつもりだけど本当はちゃんと知らないこと」とかを深く深く、明るく面白くつづった記事のまとめです。ここまでテーマがジェネラルに広がるとますます、文才とかネタの面白さが際立ちますね。最近私がいつもなんとなく読んでる、ネットで流れてくる記事なんて、真偽のほども怪しいし突っ込み不足、誤字脱字や理解力、表現力のなさが目立つうえに面白くもない、という記事がいかに多いか。この本のような記事が書ける人のことを「コラムニスト」って呼ぶんだよな、と改めて思いました。

というのも、私は数十年前に友人に頼まれて、月刊誌に「ちょっと面白い英語ネタ」を連載したことがあるのです(!)。当時は外資系企業に勤めていたけど、住んでるのは日本だし、ネタはUSの親会社の同僚たちが面白がって流してくるネタメールとか…。月イチで分量も1000字程度なのに、ネタのストックはすぐ切れそうになるし、英語の面白さをどうやって伝えるか毎回悩んだものでした。そうやって何とかできた記事には素晴らしいイラストをつけてくれたのですが、自分が創作した文章をプロフェッショナルの力で完成させるとこんなに見栄えがよくなるのかと、泣くほど感動したものでした。

その時期の自分を思い出し、このレベルの記事を書き続けることの「しんどさ」を想像すると、プロってすごいな大変だなと、今更のように子供じみた感想を書きたくなってしまうのでした。

最近どういうもの書いてるんだろう?とネットを検索してみたけど、1映画につき音声ダウンロード220円は高いなぁと思うけど、USでは普通なのかな。私は音声を聞くより文字で読むほうが頭に入るほうなので、メルマガのほうがいいです。。。 

知ってても偉くないUSA語録

知ってても偉くないUSA語録

 

 

町山智浩「本当はこんな歌」548冊目

この本もとても面白かった。知らなかったことも知ってたことも色々だけど、90年代以降自分がさっぱり音楽を聴かなくなったのでそれ以降のバンドのことを知らなさすぎる。。。

ところで町山氏には情報屋がいるね?

彼の英語力はプロフィールを見る限り、ネイティブではない。英米に長く留学してたとか、日本の滞在の方が短い帰国子女でもなければ、英単語はともかく文化的背景(聖書に始まり20世紀のアメリカのテレビ番組や流行など)にここまで詳しくなるはずがない。ネットや図書館で調べられることにも限度がある。大人になってから移住しても、そういう過去の蓄積は身につかないので、奥さんがアメリカ育ちとか、アメリカの映画や音楽評論家と大親友とか…。そういうツテのおかげで、こういう本が日本語で読めるとしたらありがたいだけなんだけど、ツテが途切れたら途端にこの人の記事の読みごたえが「普通」になってしまうのかな。それはとても残念なので、情報源のキープも含めて、ずっと面白い記事を更新し続けてくれたら嬉しいです。

本当はこんな歌

本当はこんな歌

 

 

町山智浩・柳下毅一郎・ギンティ小林「雑食映画ガイド」547冊目

あー、こういう映画の世界ってあったよな。なんか劇画って感じの、大人のあぶらぎった男だけの、暴力とスピードとエロと金のうずまく世界。そのどれも関係ない映画ってあんまりないけど、そればっかりのギタギタでドロドロなやつ。

この中では町山氏はすごくお行儀がいいほうで、柳下氏と小林氏が取り上げた映画は一般公開されていないものや「ピンク映画」など、私とは永遠にご縁がなさそうなものが過半数でした。はぁ。

今回、この本(※町山氏の部分のみ)を見て新規に見ようと思ったのは以下の作品:「マシニスト」「ガールフレンド・エクスペリエンス」「アザーガイズ」。

雑食映画ガイド

雑食映画ガイド

 

 

 

町山智浩「最も危険なアメリカ映画」546冊目

こんどの本は、アメリカ映画の大メジャー作品にしのばせた政治的、ときに人種差別的な意図について大胆に切り込んでいます。

国民の創生」がKKK礼賛映画ということは、私も見たときに気づいて愕然としましたが、かの大人気作品「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレスト・ガンプ」の偏りには気づきませんでした。日本のどの映画を見たって、人間の作ったものであるかぎり、どっちかには偏ってるので、歴史や政治に疎い海外の作品にも当然そういう偏りがあるのは当然といえば当然ですが、改めて指摘されると驚きますね。ディズニーの「空軍力による勝利」や「南部の唄」とか、表舞台に出ることはないでしょうね、日本では。もしかしたら逆もあるかもしれないけど。

この本で紹介されている作品は、今日本で入手するのが難しいものが多いのですが、かなり昔の映画が多いので、(映画の著作権存続期間は70年)日本語字幕なしでよければネット動画サイトで見られるものもあります。ちょこっと見てみたら、普通にエンタメ作品。怖いですね、観客って雰囲気だけに流されてしまうんだな。楽しそうな雰囲気で語られるといいことだと思ってしまう。映画の中の人たちが怒っていたら、相手は極悪人だと思ってしまう。この影響力の強大さを、作るほうも見るほうも認識しておきたいものだな、と思います。 

最も危険なアメリカ映画 (集英社文庫)

最も危険なアメリカ映画 (集英社文庫)

 

 

町山智浩「「最前線の映画」を読む」545冊目

熱烈なファンかなにかのように、同じ著者の本を読み続けてますが。

この本は2016年あたりに公開された新作映画を取り上げて、いつものように深堀りしています。

マーティン・スコセッシ監督、遠藤周作が原作の「沈黙」の分析が深くて泣けました。原作を読んだ時も驚愕したけど、映画があまりにも観客を追い込む辛い辛い作品だったので、とにかく日本の弾圧のひどさ、日本人の「お外の人たち」に対する残酷さに、自分が日本人であることを恥じたくらいでした…が、この本ではカトリックにおける「キリストの否定」、棄教ということについて詳しく解説していて、カトリック教徒がこの映画をどう見るかというヒントが得られました。

あと、今回この本を見て新規に見ようと思ったのは「ワンダーウーマン」。アメコミが原作の映画ってあんまり面白そうに見えないけど、ここまで深堀りしてもらえると、がぜん興味が湧きます。

「最前線の映画」を読む (インターナショナル新書)