川上未映子「乳と卵」107

芥川賞受賞ということで。

この本ってまだ単行本になってないのかな。文芸春秋で読みました。・・・ってな感想を今こうやって書いてる人が日本中に5,6人くらいはいそうだ。

感想:おもしろいね。町田康みたいだ、というのは、ミュージシャン出身の作家だという知識からそう言ってるのではなくて、改行が少ないけど読みやすいところとかが似てる。意識してるのかな?と思うくらい。

テーマが「乳」と「卵」というメス特有のものだし、樋口一葉の再来とか書かれてるし、作家が女だということを意識して読まなければならないみたいだけど、特に気にしなくていいと思います。「あけすけな大阪のおねえちゃん」って感じ。(ほめ言葉)

いやみなところのない、楽しめる文章だし、私が純文学に不可欠だと勝手に定義してる「どこか遠くへ連れて行ってくれる感じ」もある・・・けど、なんか気になるのは、芥川賞っぽさかなぁ。いかにもこの賞をとりそうな匂いがする。「NHKの匂い」とも似た存在感の「芥川賞の匂い」。直木賞は「面白ければ勝ち」のようで、共通の匂いは感じないんだけど。

いいと思うけど、この人のほかの作品よりは、次は「私の男」のほうを読んでみたいかな。あっちはテーマがなんか怖そうだけど。