ペニー・スパーク「20世紀デザイン - パイオニアたちの仕事・集大成」163

A4変形サイズ、272ページオールカラー、ハードカバーの豪華本。

最近集中的におっかけている「デザイン史」関連ですが、この本はいわば「デザイナー図鑑」です。

どんなにうまくやろうとしても、個別のデザイナー(画家とかもだけど)をひとくくりにしてなんかのグループに入れようとするのは無理がある。従って、デザイナーごとにその作品サンプルを多数カラーで配し、ごく短いテキストを添えたこの本は、アーティスト別に編纂された美術全集と同様、何より参考になります。(1万円超もするので買えないのがツライ)

かつ、日本の人が書いた本よりイギリスの人が書いた本を読んでみたかった。この人はV&Aミュージアムと共同で開設した王立芸術大学のデザイン史コースの教授らしい。だからか、網羅的でかつ理論に流れず冷静です。実物に囲まれていて初めて、流れも見えてくるはず。

とても楽しく面白く読めました。(眺めた、というか)字ばっかりの本をいくら読んでも人名が覚えられないけど、これが手元にあったら、事典がわりに使えていいだろうなぁ・・・(買えないけど)

この本で目立つのは、Mr & Mrsなんたらという項目が多いこと。著者が女性だからでしょう、著名なデザイナーの妻もデザイナーである場合、妻のほうの影響度も実は大きいことがある・・・という点まで掘り下げて調査しているようです。

アルビン・トフラーの講演会に行ったら、質問に答えてるのは奥さんだった。その後の本は夫妻の共著ばかりだし、実際は本を書いてるのは奥さんの方なんじゃないか・・・という話を某教授から聞いたことがあります。Shakespeare's Sisterなんて話もあるし、著名デザイナーの中には実はほとんど妻の作品だったというケースもあるとこの本の著者は思ってるのかもしれません。