デイヴィッド・ミーアマン・スコット&ブライアン・ハリガン「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」292冊目

友達からもらって読みました。

日本ではあまり知られておらず、全然聞かれてないアメリカの大人気バンド「グレイトフル・デッド」。

「デッドヘッド」と呼ばれるきわめてロイヤリティの高いファン層や、独特の “ヒッピー”文化が知られています。

この本は、自らもデッドヘッドである二人のビジネスマンが、いわゆる音楽ビジネスの王道と対極的な行動をとってきたこのバンドが、なぜちゃんと利益を上げて存続してこられたのかをマーケティング的な観点から書いた本です。

このバンドは昔から「コンサートは録音、撮影OK」としていて、逆にそうやって録音されたカセットテープがファンの間で広まって、オリジナルアルバムもちゃんと売れたしコンサートはいつもいっぱい。ファンを大切にして、ファンクラブを通じて情報発信するし、チケットも直販。録音や撮影を禁止して、チケットをエージェント経由で売る従来の音楽ビジネスは、結局のところチャンスを狭めて、エージェントを儲けさせているだけだ、といいます。

読んでみた印象は、「いかに彼らが、知らず知らずのうちに本当のマーケティングを実践してきたか」を、最近のマーケティング本にあるような指標を使って例示した本、という感じでした。

メンバーや関係者に対するインタビューはなく、ファンとしてどういう体験をしてきたかを、公になっている事実を元に述べています。

つまり、新しい情報はとくにないです。

本の作りはファンブック的で、コレクターズアイテムと呼べるくらいカラフルで神秘的な、このバンドのアルバムジャケット等のビジュアルに満ちています。

どんな音楽をやる人たちだっけ?と思って、YouTubeに乗っかっているライブ映像を視聴しながら読んでみたのですが、なんとなく心地いいけど特徴や盛り上がりのない音楽だなぁ・・・。ずーっと流れていても嫌じゃない。でも本に書いてあったほど、どんどん新しいことに挑戦している感じはない。

日本で言えば何だろう。ライブバンドとして定評があって、ファンのロイヤリティが高いってところだとアルフィースターダストレビュー?・・・といっても彼らだって「録音自由」とか「チケット直販」とかではないので、そうやって比較してみるとグレイトフルデッドの特異性が実感できます。

なにも新しいことをしなくても、地道にお客さんがやってほしいことを続けていれば、道は続いて行くんだよ。という話でした。以上。