著者はドキュメンタリーを撮っている映画監督で、彼の「精神」という映画を見たことがあります。
マイケル・ムーアの映画とか見てると、ドキュメンタリーって結局フィクションだな、気を抜いて見ていると監督の考えが刷り込まれるようになっている・・・と思うのですが、その映画は撮影対象に極力手を加えず、主義主張やテーマを加えず、あくまでも視聴者に考えさせる作りになっていました。
その監督の著書が、書店の民主主義フェアに選出されたあとで外されたと聞いて、読んでみました。
書かれていることは至極まっとうで、第二次大戦後に制定された現在の憲法に込められた平和と平等志向を守り抜かなければいけない!ということが熱く、感情を込めて語られています。
なぜこの本が外されたのか?
もし、フェアの趣旨が、「民主主義って何ですか?」がわからない人のためのやさしい本を紹介することなら、それとは趣旨が違うかもしれない。一般論ではなく、いまの日本とくに橋下さんと安倍さんと彼らの政党を糾弾する内容だからかもしれない。不偏不党ではなく持論を展開している。・・・でもフェアってひとつの書店が、自分がいいと思う本を売る場所だから、外すのも勝手。外されたからこそ興味をもって読めたので、私のほうはそれでよかったです。
ただ、私は、民主主義というのが自分たちで考えて責任をもって代表を選ぶことだということは、いままで日本人がちゃんと理解していたことなんてなかったんじゃないかなという気がしています。捨てるというより、いまだかつて手に入れたことがなかった。なぜならそういう社会の仕組みは上から与えられて受け取るものじゃなくて、自分たちで獲得しなければ手に入らないから。
何人も大切なスタッフを殺害されても、なお特定の宗教の風刺をやめないどころか、ますます過激に続ける
シャルリー・エブドを見て、フランス革命をなしとげた国ってすごいなぁ、と思います。日本の感覚で見るとやりすぎ、悪趣味とも思える風刺画を、出し続けることが自分たちの大事な役割だと信じてる。日本の会社だったら、彼らの発行物に載っているイラストなんてひとつも載せられないんじゃないかな。
そういう戦いを日本はやったことがない。ユダヤ人やシリア人が逃れてきて作り上げたアメリカが作ってくれた憲法を、ありがたみもわからずに受け取っただけだった。あんな戦争を経験してもまだ本当にはわかっていなかったということが、今頃やっとわかったんじゃないか。。。。
日本はもう一度、徹底的に壊滅させられてしまうのかな。もうしそうなったところで、その後に民主主義を立ち上げられるかどうかは相当怪しいと思う。・・・