明司雅宏「希望の法務」618冊目

最近また法務の仕事を始めたので、オンラインセミナーを受講したらこの本が紹介されたので、さっそく読んでみました。

めちゃくちゃ地味な装丁。最近ここまでシンプルなのは珍しいくらい。単行本なのに岩波文庫みたいだ。奇をてらったり見た目で勝負しようとしたりしない著者の気概でしょうか。

私が法務部に勤務していたのは1993年から2004年まで。英文学部しか出ていないし、派遣社員だったので最初は事務補助から。人の出入りの激しい外資系企業だったので、やがて社員になり、気が付いたら古株になっていて、だんだん契約書のレビューやローカライズ、交渉にも関わるようになり、新商品のリーガルチェックやコンプライアンス、標準化とかにも関わらせてもらうようになりました。最初は契約書や法律にアレルギーがあって、できれば違う部署が良かったんだけど、たまたま派遣の仕事があったのが法務部だったので「仕方なく」所属することになりました。それが、会社でボスの主導でやっていた民法勉強会や、知財の勉強をするようになってから、だんだん「法律って結局、昔誰かが高い志で万人に平等に権利義務が持てるように作ってくれたものだ」と思うようになり、同じように苦手意識があって勇気を出して相談に来てくれる他部署の人たちに、できるだけフレンドリーに話を引き出して、一緒にビジネスを構築しよう、一緒に案件を獲得しよう、という気持ちで仕事をするうちに、だんだん面白くなってきたのでした。その頃の私の目指したものは「ソウルフルな法務」。この本を読んで、その頃の自分を思い出したし、この著者が上司だったらもっとあの仕事を続けられたかもしれないとも思いました。(この本で啓蒙しようとしている形式主義的な人が多かったから、私は浮いてたんだろうな)

これからの仕事で私はいまの小さい会社に貢献できるだろうか?

希望の法務――法的三段論法を超えて

希望の法務――法的三段論法を超えて

  • 作者:明司 雅宏
  • 発売日: 2020/10/03
  • メディア: 単行本