信田さよ子「加害者は、変われるか?」709冊目

加害者の多くが、自分は被害者だと思ってるとある日気付いた。といっても、深刻な家庭内のDVの話じゃなくて、職場のいやがらせの話だけど。(普遍的なことかもしれないけどね)

表題の論点がとことん語られる本かと思ったら、もう少し全般的なわかりやすい読み物でした。で、加害者が変われるかどうかは、「加害者プログラムに参加するか」つまり本人に改善の意思があるかどうか、努力をするかどうか、にかかっているというのが結論だったと思います。参加率はどれくらいなんだろう。変わった、とカウンセラーが実感できるケースはどれくらいあるんだろう。

基本的には人間は変わらなくて、変わる場合も自分ががんばって働きかけたことの影響とは限らず、なにか思いもよらない拍子に変わるものだと思ってます。そのくらい、他の人への期待値は下げておきたい。

それでも加害者を変えることができるのか?をすごく知りたかったのです。著者はあくまでも被害者のカウンセラーという立場なので、場合によっては加害者とは縁を切って終わりということも多いはず。加害者側専門の心理学者が書いたものとかがあれば、それも読んでみたい気がしますね。結局のところ、犯罪は被害者が引き起こすものではなくて、加害者の中で起こって、そこから対象者を選定するものだ、っていう気がするから。間違ってるかもしれないけど。

矯正プログラムとか考えると「時計じかけのオレンジ」みたいなやつになっちゃいそうだけど、まだあまり知られてないアプローチがあるのかもしれません。。。