岡田英夫「日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識」710冊目

日本語教師の資格を取ろうかと思って、いろんな教材を読みまくったりしています。「テキスト」と称する本を読めば、試験には無駄な知識も含めて包括的に理解できるように必要な知識を体系的に書いてあるんだろうと思って、そういう本を買って通読してみたんだけど、信じられないくらい暗記偏重なんだ、これが。たとえばある教授法について書くときに、それを提唱した人の名前や教授法の名称が、カタカナで一度出てくるだけ。名字のスペルもフルネームも書かれていないし、その人の著書が巻末に参考文献として書かれているわけでもない。高校までの教科書ってこうだったかなー、と思い出してしまう。大学から上だと、もっとよく知りたい人のための情報が載ってないのは片手落ちとされると思うんだけどなぁ。

暗記すべき「特質」が列挙してあるだけで、実際その授業ってどんな風に行われてたんだろう、ということを調べるのがまた苦労する。新しいものならYouTubeで探せば見つかったりするけど、古いものは提唱者の著書はおろか、その手法についてきちんと書いた本すら見つからない。こんなの勉強って言えるんだろうか?だったら最初からQ&A形式の暗記アプリでもやったほうがマシなんじゃないか。

…という私の違和感をやさしくほぐしてくれるのが、この本でした、という話がしたかったんです。なぜならこの本は実際に長年日本語教育に携わってきた人が、やってみた教授法、移民政策の流れ、とかを実体験として解説してくれているからです。「基礎知識」というくらいでこれはテキストではないので、上に私が書いたような詳細に触れてるわけじゃないのですが、「やってみた実感」が書かれていて、初めて生きた人の話が聴けたような感覚になります。それくらい、テキストってのは死んだ言葉を並べたものになっちゃってるんだなぁと感じます。

得意分野だとは思ってないけど、この先私が海外と関係をもちつつ、ちゃんと人と関わりながら、何かの役にたっていく、という目標のために選んだことなので、まっさらな気持ちで1つ1つ身につけていかなければ。そのためには、漫然と講座を受講するんじゃなく、「試験」「教授法」「実践」など、都度都度目標をたてて、クリアしていきたいもんです。