飯間浩明「小説の言葉尻をとらえてみた」878冊目

実際、小説を読んでいると、言葉尻というか枝葉末節に当たる部分の表現が気になることがよくあります。日頃から「なんて文章のうまい作家だろう」と思っている人の使う”珍しい”表現は、昔の言葉だったり、聞きなれた言葉の独自の組み合わせだったりして、私にはなじみのないものがあって、そこが魅力です。

飯間先生がどんな風に読書を楽しみつつ研究しているかが伝わってきて、とても楽しい。でも細かいところをほじくると、書いた小説家本人の弁も聞いてみたくなります。逆に、もう読んだ本でも、まだ読んでいない本でも、多分読むことのない本でも、「黙って本文を読ませてくれよ」という気持ちにもなる。いつものように筋を追いたい私と、飯間先生と一緒に小説世界にダイブしている私と、登場人物の世界にいる私。行ったり来たりでとても忙しい本でした・・・。