ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー「その名を暴け」610冊目

原題は「She Said」。この本の本質は誰かの名を暴くことではなくてワインスタインやカバノーの過去の性的暴行を公にして立証することなので、この邦題は不適当で煽情的なんだけど、本はとりあえず手に取ってもらうことに意義があるという意味では、宣伝効果のあるタイトルだと思います。

大変力強いノンフィクションでした。取材する人たちの知性と粘りとエネルギー、対する暴行者側の行動。女性たちの弱さと強さ。末尾で翻訳者が書いているように、この本が日本ではまだまだ当分書かれない現状が残念である一方で、私たちが目指す道を示してくれているようにも思います。

性的暴行、合意不合意。セクハラとはどう違うのか?…いろいろありました。声を上げても握りつぶされたことも。今も一人でいるのは過去の傷のせいかもしれない、と思うこともあります。

ほんとにこの国はどうなっていくのかな。トランプが1期だけで失脚する国のほうが自浄作用がちゃんと働いてる、という気がしてなりません。