胸に来た。この子を静かに抱きしめていたい、と思った。抱かれるのが苦手な猫みたいに、ふんわりと膝に載せて。
感受性が強すぎて、すぐ泣いてしまいそうだから、お面のように顔をこわばらせて暮らす。そうしないと、泣きっぱなしではどこにも行けない、何もできないから。いつも緊張してたから顔の左側がうまく笑えない。何を言っても何をしてもいい奴だと思われて、うそみたいにひどいことをされる。結末で問題が解決して、明るい自分に戻る、とかじゃなくて、傷ついたままのこの子を見て、懐かしいような安心するような気持ちになる。自分の中のあまりにも奥に閉じ込めてしまって、忘れてしまってた幼いころの心。
目の前にこの子がいたら、何をしてあげられるだろうな。触られたくないだろうし、声もかけてほしくないだろう。ただ黙って隣に座っててもいいかな。それはこの子のためというより、一緒にいたいと思う自分の望み。
ストーリーを思い返してみると、裾の大きい民族服を着た女の子たちの通う学校がどういうところなのか、南じゃなくて北だということもわかってませんでした。不思議な成り立ちの、閉じていて優しくて偏った場所。学校ってどこも偏ってるのかもしれないけど。いじめとか嫌がらせとか、すべての悪意の攻撃は、どんな人もやる可能性があるし、やってるところを見ない限り「この人がまさか!」と信じられないような人までやるものだ。そして自分の「悪意」を吐き出してよく眠って忘れる。逃げる方法も解決する方法も、私はまだ見つけてないです。この作者が何を書き続けてくれるかずっと見ていようと思います。