アリスン・モントクレア「ロンドン謎解き結婚相談所」737冊目

新刊リストを眺めていたらこの本を見つけて、タイトルと表紙に惹かれて読んでみました。第二次大戦直後のロンドンの、廃墟の中に残ったビルの4階で”ロンドンで2つめの”結婚相談所を始めた若くて美しい二人の女性。一人は元スパイで、もう一人は夫を戦争で亡くしている。二人の出会いはお互いの知り合いの結婚式で、新郎新婦の人となりやマッチングの妙について話しているうちに意気投合し、相談所を開くに至った…というエピソードも、ワクワク感となるほど感が絶妙です。

いわゆる”本格ミステリ”ではないので、真犯人像やトリックは「?」という部分もあるけど、人物造形が生き生きしていて、その時代のロンドンを素敵に想像した感じがとても良いです。たぶんこの著者は、戦争にリアリティを感じない若い人じゃないかな。外国人が想像した日本、みたいに、多分現実と違うけど想像たっぷりの魅力があるので。

ただちょっと、原文を生かそうとしすぎた翻訳が少し読みづらいのと、ロンドンならではの習慣や地名、食べ物なんかの訳注がまったくないので、なんとなく雰囲気で読んじゃうのがちょっともったいない気もします。訳注があったとしてもリアルに想像するのは難しいので、映画化してくれたらなぁ…なんて思ったりします。きっとカラフルで素敵な作品になると思います!