綿矢りさ「かわいそうだね?」805冊目

やっぱりこの人の小説は面白い。この本には、煮え切らない彼氏に見切りをつけるべきか悩む洋服店員と、美人すぎる友人をもった女性、それぞれを描いた2編が収められています。

同じ女性としては「作品の感想」が書きづらい。どうしても、主人公に対して一言言ってやりたい、たとえば「元カノを一人暮らしの自宅に住まわせるなんておかしいでしょ!何もなかったとしても相手はその気なわけだし、そんな男と結婚なんかしても、一生そういう謎の親切に悩まされ続けるよ。アンタは一切、一番大事な人として扱ってもらえないんだよ」とか。「美人すぎるとか優秀すぎる人って孤独に決まってるでしょう。自分もやっかみが強いんだろうけど、ここまで一緒にやってきて今は親友なんだから、彼女を埋めてあげられる結婚なら応援してみたら?」とか。いややっぱり反対する方が親身な気もするけど。…というありさまで、客観的な評価ができません。

題材が身近だからか?作品がすぐれているから感情移入しすぎるのか?vs 感情移入しすぎる作品はいい作品なのか?…賞の選考をしてるわけでもない、ただの一読者なんだから、客観的な評価なんて試みる必要もないですね。この人の小説は、とにかく、今回もすっごく面白かったです。