村田喜代子「飛族」846冊目

<ストーリーや結末に触れています>

この人の本を読むのは久しぶり。好きな作家のひとりだけど、評価が確固としている分、いつでも入手できるので、つい後回しにしてしまう。

最近の小説には、老婆か初老の女性が多く登場する。この小説は老婆2人、初老1人。最初の頃の作品だと、主人公が異世界へ飛んで行ってそのまま終わるイメージがあったので、この作品では(タイトル通り)おばあちゃんたちが異世界へ飛んで行ってしまうんだろうかと思いながら読んでいたら、割と日常的な結末でしたね。異世界を経験したあとの、くったりとした日常、のような感じもありますが。今の私自身には、じわっとしみ込んでくるようで不思議な共感を覚えました。私もそうやってだんだん、小鳥みたいな小さい老婆になっていくんだろうな・・・。それもまた楽しみに思えてきました。