村田喜代子「焼野まで」493冊目

ほぼ、ガンになった村田喜代子自身の闘病記なのかな?
八幡ものではガンが見つかってからあまり長く生きられなかった「ミツ江」はこの本では長生きして、自分自身のほうが闘病しています。
モデルになったオンコロジーセンターを調べまくってしまったくらい、この本は「子宮体ガン・切らずに治すマニュアル」でもあります。
女の生を描き続けてきた彼女が今書いている小説には、あの世が時々うっすらと透けて見えています。いつもの村田節。
若い頃からの馴染みで、病床にいても携帯でときどき電話で話す「八っちゃん」って男性は、どういう存在なんだろう。兄弟みたいに親しいけど、まるで男と女という色気がない。主人公が病院で出会うガン友達も、なんとも言えない味わいがあります。その後連絡を取り合ったりしない人たち。生きているか死んでいるかわからない人たち。といっても、ガンでなくても人は必ず死ぬんだけどね・・・・というのがこの人の世界だな。

面白いからもっと書き続けて欲しいです。あの世からも書いてテレパシーで送って・・・。