岸俊彦・編「東京の生活史」847冊目

この人の本は何冊か読んでとても好きなんだけど、読むと、とてつもなく切ない気持ちになることがある。自分が見ないようにしている自分の暗さを思い出して、空騒ぎして自分で自分をなんとか楽しませようとしてる自分がむなしくなってくる。

この本でも、東京の人、ひとりずつに好きなように語ってもらっていて、その中の見栄っ張りや忘れたいことや思い出したいこと、人のやさしさや悪さをその場に自分もいるように”聞かせてもらう”のが、ときどき、いたたまれないような気持ちになる。

”いたたまれない”。それが生きるっていうことのリアルなのかもしれない。

この本を買う勇気がなくて、図書館で借りたら、2週間で5分の1くらいしか読めなかったので、また予約して、やっと続きを読み始めた。・・・そしたら、もう読まなくてもいいって思った。多分最初にこれを読もうと思ったとき、私には話し相手がいなかったんだと思う。今は、それほど生活が変わったわけでもないけど、直接いろんな人と話す機会を作ろうとしていて、少しずつ増えつつあるから、人の話をゆっくり聞きたい欲が満たされてるみたいだ。

だから途中だけど、返却します。そんな読み方もあっていい・・・ですよね?(ダメかな?)