川村元気・近藤麻理恵「おしゃべりな部屋」833冊目

可愛い本だけど、なんか、「読者を信用してない本」だなという気もしました。ここで笑って、ここで泣いて、という「ト書き」まで見えてくるような。理解や解釈の揺れの余地が1ミリもない、止まった見事なからくり時計みたいな本。

寝転がって空から美味しいケーキが降ってきたらいいなぁと思ってる人にはいいけど、行間からもれてくる著者の経歴や性格とか、書かれていない部分を想像する余地とかをいつも楽しむ、私みたいなしつこい読者には、なんとなくお腹がすいたまま終わってしまう本なのでした。

近藤麻理恵さんの本は何冊も読んでいて、片付けの作法がうっすらと頭に入っているからかな。まったく初めて片付けをしてみようか、どうしようか、と不安に思っている、若い子や本をあまり読んだことがない人にはいい入門書なのかもしれません。