2015-01-01から1年間の記事一覧

魯迅「阿Q正伝」345冊目

なぜ今魯迅?…とくに理由はないんだけど。借りてきた文庫本には、表題の「阿Q正伝」、「狂人日記」などの短編がたくさん収録されています。改めて読んでみて…この2作の主人公が、あまりにもダメダメでちょっと驚いた。ニューシネマか何かか?阿Qは貧乏で字…

アメリー・ノートン「チューブな形而上学」344冊目

やっぱりこの人は面白い。ベルギーといえばビールとチョコレートくらいしか知らないけど、日本に生まれ育って自分を日本人だと思っていた、気が強いベルギー人の幼児がいたなんて、愉快でたまりません。やっぱりベルギー行こう。作者にも、いつかどこかでお…

アメリー・ノトン「幽閉」343冊目

「殺人者の健康法」「畏れ慄いて」「午後4時の男」を過去に読んで衝撃を受けたこの作家ですが、その後またいくつか翻訳されているようなので図書館で借りてきました。 彼女がどれだけイジワルな作家か、もうわかっているつもりなので、きれいなハッピーエン…

羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」342冊目

これも文春で読んだだけですが。 「火花」と対比して読むと面白い。こっちに出てくる人たちは、一見みんな腹黒い。人の顔色を伺ったり、腹を探ったりばかりしてる。その実どこか誠実でまっすぐなんだけど。そして、こちらは書き慣れていてこなれてる。楽しく…

又吉直樹「火花」341冊目

文藝春秋を買っただけだけど、感想書きます。 すごく熱いものを感じさせる作品で才能あると思うけど、内向的すぎるのと、オチが一般の人から見るとちょっと突拍子ない感じじゃないかな、と思いました。でも、次も読みたいと思うし、プロの作家としてやってい…

アーネスト…ヘミングウェイ「老人と海」340冊目

ヘミングウェイを読もうと思ったのは、キューバがUSAと国交を回復したと聞いてキューバに旅行してみようかなと思ったから。若い頃のゲバラを描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見たから。どちらかというとゲバラ寄りにキューバをとらえつつあったん…

斎藤憲二「株式会社ドバイ」339冊目

これはいい本だった。他がダメだというより、いままでに読んだ他の本と違ってバブル崩壊後に書かれた本だという点が大きいです。猫も杓子もドバイドバイと騒いだあと、確かめもせずに「終わった」という人たちが現れ、現地でずっと状況を見ていた著者=なん…

福田一郎「ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか」338冊目

ドバイ本も4冊目になると新しい情報がないです。著者のせいではないです、4冊目だから。あと、この本が書かれたのもドバイが万事急上昇中だった2008年の本だから。そして、お金持ちが集まる理由は、ドバイが0タックスのハブ地、観光地として国をあげて開…

松原直美「住んでみて、わかった!イスラーム世界」337冊目

副題は「目からウロコのドバイ暮らし6年間」。出版年度は2014年です。 これは「地獄のドバイ」と比較すると”天国のドバイ”といってもいいよう世界ですが、そもそも取り上げられている人々の階層が違います。この本には、家にメイドがいる人たちしか出て…

峯山政宏「地獄のドバイ」336冊目

最近の海外旅行は、老後の移住をうっすらと思い浮かべながら行ってる私ですが(お金ないけど)、ひょんなことからリストに上がったドバイについて、適当に本を取り寄せて読んでみました。良さそうな本も悪そうな本も含めて、こういうときは濫読です。 「地獄…

赤川次郎「黒い森の記憶」335冊目

ジャンルはミステリーではなくホラーだそうです。舞台の脚本のト書きみたいな情景描写がすごく多くて、ストーリーの進行が少ないなぁ。ミステリアスな漫画みたいです。 多分まだ若い頃の作品なんだろうな、60そこそこの主人公が「xxじゃろう」みたいな、昔…

雨宮処凛「なにもない旅 なにもしない旅」334冊目

読み終わって暗い気持ちになった。最後まで読んだりしなければよかった。私はどんな旅行も好きで、なにもなさそうなところのなにもない宿に泊まってさえ、必ず「面白い!」と叫べるほど、好奇心には自信がある。この本もそういう人の心踊る本かと思ったら、…

村上春樹「Sydney!」333冊目

この本は、村上春樹が2000年9月のシドニーオリンピックを現地取材したときの現地レポート、というよりエッセイです。私は2015年4月〜5月のシドニー旅行にこの本を持って行って、短い滞在だったけどちょこちょこ読みながら過ごしてみました。 15…

斎藤明美「高峰秀子の捨てられない荷物」332冊目

たまに買う「クロワッサン」に、この人はほぼ同じ内容のエッセイを連載してます。単なる転載かなと思うくらい同じエピソードが多いけど、タイトルは別らしい。文中いつも謙遜してみせる割に冷静な文章を書く人だけど、ほかの内容の本はほとんど書いてないみ…

高城剛 「サバイバル時代の海外旅行術」331冊目

近所の図書館がリニューアルしたので行ってみたら、キオスクのように、文庫本と売れ線の本ばかりになっていて、がっかりしたので旅行関係の本ばっかり借りてきました。この本は、かの有名な高城剛氏のいまの本業と思われる、旅行関係のエッセイというかHow-t…

佐藤正午「鳩の撃退法」上、下 329-330冊目

久々の大作。今回は、「ちょっと腕が落ちた小説家が書いたふうの文体」まで使って、メタ小説のメタ小説を書ききってしまいました。筆力に自信満々ですね。初回、それに挑むような気持ちで読んでしまったのは無駄、というか無粋だったなぁと今更思います。い…

村上春樹「女のいない男たち」328冊目

図書館に予約を入れたのは、いつだったか思い出せない、くらい前。この人の本って出ればかならず読むけど、所有したいという気持ちがなぜかないので、借りるのが一番なんだよね。でも予約しても数ヶ月待ち。 この人の本に出てくる男性って、イケメンでなくて…

有栖川有栖「高原のフーダニット」327冊目

久々に図書館に行ったら、つい余分に本を借りてしまった。本格ミステリのこの著者の本はわりと読んでるほうで、今回もタイトル借り。「フーダニット」=whodunnit=who'd done it ミステリといえば、の「犯人探し」。この本は中短編集だし、フーダニットがタ…

シェリル・サンドバーグ「リーン・イン」326冊目

一昨年発刊されて、働く女性たちやその周囲の人たちに大旋風を巻き起こした本。やっぱこういうのは読んでおかにゃ。 TEDトークも見たけど、本を読んだ感じは、意外なほど、デリケートな女らしい人だなぁ。(という私の発言そのものが性差別である、)見た目…

山本昌代「ウイスキーボンボン」325冊目

図書館で「ご自由にお持ち帰りください」本に出てたのを、持ち帰って読みました。この人の「応為坦々録」を読み返したいんだけど、図書館にもないし、古本は高騰してるし。この本は初めて読みましたが、現代のちょっと冷めた夫婦が描かれていて、この作家の…