内田樹「日本辺境論」204

この本は面白かった。わたしの理解したところを要約すると・・・

中華思想」というのは文字通り、自分たちは世界の真ん中にいて栄えていると考える思想であり、「日本」というのは「中華」から見て「日の出る方角にあたる国」という相対的な名前。しかし同様に中華に自治区と認められた朝鮮が中華に敬意を払ったのに対し、日本は「日出ずる国の天子が日の没する国の天子へ」というトボけた手紙を出したりする。これは、”ぼくたち端っこにいるから、よく知らなかったんだよ~”と無知を装うという日本特有の態度であり、この日本人の”辺境性”が自分たちをその後周辺アジア諸国の支配へ向かわせ、そして今も他の国との比較でしか自分の立ち位置を認識できない、リーダーシップのとれない態度を続けさせている。

しかしその辺境性がもたらしたのが、漢字(表意文字)とかな(表音文字)の両方をもつ他に類をみない「日本語」であり、この言語では表意と表音を理解する脳の別の部分を同時に使うことができるため、日本ではマンガ(表意する絵と表音する文字)が発達した。

あるいは、自己主張のない分、外からの文化がすんなり入ってきて、学習能力には優れている。といった特徴もある。

結論として、辺境人は辺境人として、自分たちのことをとりあえず知って、やっちゃならないことはできるだけやらず、それなりにいい点も認識して暮らしていこう。

・・・そんな感じ。

私が思ったこと 「私は身に覚えがあるけど、国家レベルでもそうなのか」。

会社レベルでもよく、アメリカの会社で日本の会社と交渉してたときによく、(どうしてこの人たちは対等にビジネスをしようとしないで、下から目線で嘆願してくるんだろう)と不思議に思ってました。一方自分自身は、周囲の人は自分よりスゴイと思いがちで、誰かを見ながらそのレベルを目指すってことを気が付くとやっているちっちゃい人間なんだけど、それが日本の歴史の最初から今までずっと国家レベルで続いてきたという指摘には、はっとさせられました。

もう十分長く書いちゃったので引用はしませんが、どういう考えの日本人も一度読んでみると面白いと思うよ。ほかの人の感想も聞いてみたいです。

以上。