デービッド・アトキンソン「イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」」375冊目

1冊目の続編ではなくて、焼き直しみたいな本だ。
同じことが繰り返し語られてて、ちょっと飽きる。

繰り返し語られることを聞いているうち、日本人の働き方について、この人には心情的に理解できないことがあるんだな、ということがわかってきました。

勤勉で優秀な労働者と、ろくに働かない経営者・・・というのはその通りだけけど、私たちの多くは”いい仕事をすること”が何よりの喜びで、レジャーで海外旅行に行っても、ビーチで1週間のんびりというのが苦手で、細かい予定をたてて忙しく出歩いてしまう。人がほめる史跡やレストランに行って、「本当に素敵ね」と確認することで喜びかつ安心する。いつか偉くなってのんびりしようと思うくせに、本当にそうなってしまうとなんだか寂しくなる。そういう性格なんだから、合理的な無駄のない手法、つまり、楽して儲けるということに共感できない。

デービッドさんは、もっと楽して儲けろと言ってるんだけど、はなからそんなつもりはないわけなので、みんなで集まってわさわさと仲良く仕事をしていたいし、お前だけ楽して儲けやがってと言われるくらいなら、安心を選ぶ。なんとなく、ゴールがちょっと違う気がする。楽して儲ける方法を教えてもらって、初めて、いままで苦労しすぎてたなと気づくけど、ちょっと悪いことをしてる気もしてるんじゃないかな、部下の人たちは。

仕事のしかたや生き方は変わらないと思うけど、そうやってえんえんと暮らしている間は、本当に成果をあげることが必要な場面で結果を出す方法が身につかないのは確かだ。文化財をちゃんと守る方法を、デービッドさんに教わらずに確立することはできなかった。(そうなったら、まったく残念だとか、政府は何やってるんだとか文句はいうけど、反省もしないし、どこかそれをすでに受け入れてる)地震や台風の来る国で、木と紙でできた家で暮らしてるからには、はなからそういう覚悟で生きてる。それが外国から見るとじれったくてたまらないのかもしれない。

 

本全体として見ると、あまりまとまりがなく、前作より言葉がきつく?なった感じの本でした。
銀行の偉い人とかじゃなくて、もっとまともな議論のできる日本人と親しくなって、もう一段上の鋭い批評をしてくれるのを待ってます!