丸山俊一「すべての仕事は『肯定』から始まる」378冊目

著者は、「英語でしゃべらナイト」「ニッポンのジレンマ」「爆笑問題のニッポンの教養」、最近では「ニッポン戦後サブカルチャー史」といった番組で、常に私の知的好奇心を刺激し続けているNHKの敏腕プロデューサー。
そういう人がたとえば、あんまりオフィスにいなかったり、伝票処理が後手後手になったり、というようなこともよくあるものですが、発想もここまで鋭いとそれだけで食っていける。この発想はいったいどういうリサーチによるものなんだろうかとずーっと思っていたので、そのヒントをこの本で掴んでやろうと思いました。

結果:わかったような、わからなかったような。
なんでわからない気がするかというと、この本が主に就職活動中の大学生あたりを目指して書かれていて、その頃ぼさーっとバンドばっかりやってた私を思い出すと、とうてい届かなかっただろうなと思うから。
逆に、いい年になってから乱読を始めたので、今なら古典に熱くなる気持ちや、温故知新って意味もわかる。
あと、私は長年外資系で働いてたので、西欧的合理主義が基本ってところに染まりすぎていたり、開発製造業が長かったので、"ブツをきっちり製造してナンボ"という感覚がこの本にはなく、アイデア一発で(もちろんものすごいアイデアなんだけど)OKってなってることに、違和感を感じたりもするのです。

難しい本を読んで難しい言葉で語ったりすることって、いまどき男子でもやりづらいだろけど女子はなおさら、嫌われる勇気を持たなければやってられないんじゃないかと思う。オバさんならまだしもうら若き女子なら尚更。何を考えて生きるかも大事だけど、食べて飲んで風呂入って寝てという生活も大事だ。
こういう難しいことをずっと考えてきた人が、すごい番組を作ってるという成果を嬉しく思う一方、読書や思索といった高等なアソビをしていないときのこの人が、いまだまったく見えてこないことが不思議に思えたりもします。

20歳前後でニーチェにはまる、という感覚を想像してみたいので、彼が読みふけってきた本を数冊たどってみようかなと思います。