一色さゆり「神の値段」464冊目

書評かなにかで見て、図書館で借りられたらいいな〜と思って調べたら、たまたますぐ借りられてよかった。
ギャラリーで働く若い女性が主人公で、幻の(生きているかどうかもわからない)アーティストと、ギャラリーを取り巻く不思議な人たちの世界を見事に描いた読み応えのある小説でした。

しかし、現代アーティストで世捨て人っていうのがイメージが逆で不思議だし、世捨て人だけど自分の手を動かさず、工房に指示して作品を作らせている(とてもコマーシャルな感じ)というのもにわかに理解しがたい。そういうのが現実にあるから、アートの世界は本当にわからない。(そこが小説としてはとても面白い)

「このミス大賞」の選評を読むと、警察の捜査などの描写力がまだまだ、とか書いてあって、そうなのかもしれないけどあまり気になりません。美術に関わる人たちって、純粋で欲がないみたいなイメージもあるけど、全然感情に流されない描写が割とスカッと読めます。次回作も読んでみよう。