白尾悠「サード・キッチン」885冊目

どこかの書評で見て、読んでみました。

日本からアメリカの大学に留学した女の子が、異文化の中でもがき、悩み、もまれてダイバーシティの受容を学んでいく話。と理解しました。

よく構成されていると思う。主人公の女の子が学習していく過程に説得力もある・・・けど・・・何か感じるものがある。これは、この本が「教育的」「啓蒙的」ということかな。主人公が破ったひとつの「殻」をすべての日本人も破らなければいけない、という強い方向性が感じられて、道徳の副読本を読んでるような気持ちになる。

自分の中の偏見って常に試され続けてると思う。答にたどりついたと思った次の瞬間に、逆の意見に出会って戸惑う。・・・そういう戸惑いがあるのが人間で、「自分が絶対であると思う」というダイバーシティと真逆の意識に至ってしまうと戸惑わなくなるんだと思う。

迷い続けましょうよ。どうしても苦手な人っているよ。絶対間違ってることをしてる人もいやだけど、自分こそ正しいって思ってる人はもっと苦手だ。傷つけてしまった人の気持ちを考えてときどき泣く、でいいと思います。