「あるヨギの自伝」に出てきた、宗教家・詩人でノーベル文学賞の受賞者、タゴールの作品。詩人で宗教家ってどういうことだろうと思ったら、この本はすべて彼の神への思いをつづった愛の詩集でした。
人間ってたいがい、救われたい、愛されたい、と強く思う一方で、自分自身に救われる価値があるということや、神の存在が信じきれなくて、まったく素の状態で泣きながら神を求めるってことができない、と思う。できない自分にどこまで祈りの気持ちが持てるか、そこまで純粋な気持ちになれるか、という葛藤の本のようにも感じます。
だから読んでて苦しいし、なんだか心配にもなります。でも、待ち焦がれる詩を読めば読むほど、「誰の中にも神様は最初からいるのに」っていう気持ちも起こってくる。
不思議なのは、男性であるタゴールが乙女とか花嫁に自分をなぞらえたり、創造主を母とみたりするところ。なんとなく感覚的には、時折そういう感じに書きたくなることのほうが自然な気がするのが、また不思議。
英語原文(タゴールはインド人だけど英訳も自分でしています)も掲載されてるんだけど、thouとかthyとか、普段使わないかしこまった言葉が多くて私には読めなかった…。
(1994年 9月20日発行 900円)