稲葉剛「貧困パンデミック~寝ている『公助』を叩き起こす」756冊目

コロナ渦にある日本の、特に東京のホームレスの状況がすごく正確に把握できる良書でした。漠然と、じゃなく、きちんと知ることからしか何も生まれない。ただ…

自分の中で、①いっしょうけんめいお金の勉強をして、少しでも減らさず増やすように、日本円が暴落してハイパーインフレが来てもいいように備える、

という部分と、

②すでに貧困やホームレスの状態に陥ってる人たちがこれ以上落ちていかないように、なんとか暖かい部屋でゆっくり寝られるように、援助をがんばる、

という部分が、一致しているのか矛盾しているのか、混乱してくることがあります。

自分の中では、必要なだけ稼いで、すでに貯金した分はなるべく手を付けずに残して、死んだら応援している団体に全部遺贈するからいいんだ、と自分なりに決着をつけてるんだけど。

①の自分を肯定すると、お金を貯めてこなかったから貧困に陥るんだと誰かを責める声や、政府がお金をばらまいてるから日銀がとんでもない債務超過に陥るんだっていう声が聞こえてくるような。②の自分を肯定しようとしても、「で、その財源はどこから出てくるんだ?」という声が自分の中から聞こえてくる。

セクハラやパワハラやブラック労働に耐えて耐えて、身を削って働いて貯めたお金。でも、同じようにがんばったのに脱落した人もいる。そういう人たちを救えるなら、高い税金も我慢しようと思って払ってきた。それをうまく正しく使えてるのか?オリンピックはお金の面からも政策的な部分からも東京でこの時期にやるべきじゃなかった(たとえコロナがなくても)と信じてるし、誰も使わないマスクの不良品を大量に作って在庫してることは大失敗だと思うけど、それ以外の部分で、本当にうまくお金を使えてるのか?

ホームレス状態にある人に今夜の宿は緊急性のある支援だから絶対にケチれない。そのために、どうすれば少しでも無駄なく賢くお金を使えばベストなのか。寄付や政府の支出でホテルの部屋を確保することと、著者の団体でシェルターを所有することと、どちらが長い目で見ればコスト減できるのか。

ハイパーインフレが、来なければいいけどもし来てしまったとき、今ホームレスあるいはその瀬戸際にいる人たちはどうなってしまうのか。ホームレス状態を減らすための就労支援や企業支援、ひっ迫している自治体窓口の支援など、社会全体の足りないところに余っているところをうまく配分していって、中で完結に近づいていく仕組みを、誰も作ってくれないだろうから、自分たちで作っていくことも必要になってくるんじゃないか?

自分だけよければいいと思ってる人でも、自分以外の人たちがひっ迫してると結局自分にもしわ寄せがいつか来るわけだし。今あまっている資金や住宅を、拠出しつつ自分の将来も守れる、信託みたいな仕組みができたらいいのにな…NPOだけじゃなくて自治体にも同じくらいの数の同様のボランティアを配することが必要じゃないかな、とか。

「だったらお前がやれよ」と言われたときに「よーし受けてたってやる」と言える自分になれるだろうか。勉強してれば、いつかは??