ピーター・シンガー「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと」405冊目

タイトルからは何の本かぜんぜんわかりませんね。
よく働き効率よくお金を稼ぎ、そのかなりの部分を慈善活動に寄付して、それが実際に大勢の人や動物の命を救っていること、自分たちの将来に確実に効果をもたらしていること、を喜びにすること、また、そうしている人たちのことを書いた本でした。

感想は、ちょっと複雑。
誤解を恐れずにいうと、臓器移植が必要な愛らしい赤ちゃんのために、数億円の寄付を募るということが私は苦手です。友達の友達の、あるいは同じ会社の同僚のその子供と同じくらい、棄てられて弱ってる子や、知らない国で爆弾や病気にやられてる子たちも可愛くて大事で、その子たちの命より愛らしい赤ちゃんの命が数億円分価値があると思いたくないから。

誰かを助けたい、自分のお金で何かに確実に役に立ちたい、と思うけど、誰に何を寄付すれば本当に助けられるのかわからない。誰がちゃんと効率よくお金を使ってくれているかわからない。自分の体を使って人を助ける仕事をしたいと思うけど、子供もいなくて両親の体にまともに触れることもなかった自分が介護職につくより、もっと得意な仕事でちゃんと稼いでお金で貢献したほうがいいんじゃないか?

そういうモヤモヤの答えになりそうな本なんだけど、すっきりしないのは、けっこう極端なところまで振れているから。効果のない慈善活動は、共感したい気持ちを満足させるだけだと、かなり確信して言い切ってる・・・それは事実なんだけど、その共感がないところでも寄付ができる人って少ないと思う。なるべく垣根を作らないほうがいいんじゃないか・・・という気がしてドキドキしてくる。それが自分自身の、「共感したい気持ち」からくるもので、常に功利的な考えとその気持ちが自分のなかで争ってるから。

でもやっぱり、率直に、私は本当に役にたつ貢献がしたい。日本にも、慈善活動を評価する団体があればいいのに。あるのかな、ないのかな。ちょっと探してみようかな。なかったら私が始めるべきなんだろうか。まわり敵だらけだろうなぁ・・・。」