Min Jin Lee「Pachinko」521冊目

今まで洋書は何冊買っても積みあがるだけだったんだけど、これは一気に読み通しました。韓国系アメリカ人の女性が、朝鮮半島から日本に渡ってきて暮らしている家族4代について書いた小説なのですが、アメリカではベストセラーになったそうです。

アイスランドで知り合った台湾人から教えてもらって知りました。英語だし知らない単語もたくさんあったけど、最後までなんとか。
韓国の人と前の職場ではいつも仕事してたし、韓国映画もたくさん見たけど、何代か前に日本に来た人たちがどんな経緯で来たのか?つらい話ばかり聞いて悲しくなることが多いけど、普段の生活に楽しいことはなかったのか?といった私の中の「missing link」を埋められそう、という興味で読み始めました。

最初は日本における半島の人たちの苦難の歴史を覚悟して読んでたけど、だんだん単に面白くなってきて、残り100ページくらいになってから、これはジェットコースター的エンタメ小説かなと思ったところもあったけど、華々しいフィナーレもなく終わりました。著者はあとがきで、かなり日本に取材に来たと書いてあるので、おそらくそれなりにリアリティがあるんじゃないでしょうか。当然、彼らをいじめる日本人が何人も出てくるけど、同じくらいの数だけ、偏見のない親切な日本人も出てきます。

唯一気になるのが、変な日本語の使い方だな。シリアスな場面で「soo, nee(そうねー)」と言ったり、高級レストランの店員が「irasshai(いらっしゃい)」とだけ声をかけてきたりするのが、割と気になる。大昔のハリウッド製日本ふう映画みたいにキッチュですが、この本が日本語訳されたり映画化されたりするときは、工夫して翻案してほしいなと思います・・・。

私と同様に異文化や人間に興味深々な人にお勧めします。そのうち日本語訳も出るらしい。