これ、ずーーっと読もうと思ってたんですよ。満を持して?やっと読んでみましたが、面白いのなんの。取り上げられた映画の中で見たことがあるのは「バニーレークは行方不明」と「早春」だけだったけど、その2つとも一生忘れられない不可思議さと美しさのある佳作で、他の作品にも興味が抑えられません。
といっても、「トラウマ映画館」ってくらいなので、どれも暴力的で残酷な描写が半端なさそうで、見るのにかなり勇気が要ります。一杯ひっかけないと見られません、でも酔って見たりしたらますますトラウマが深くなりそうでもあり…。
この著者の書いたものをあちこちで読む機会が今までにもありましたが、共感するものあり、しないものもあり。でもこの本に関しては100%尊敬の念を抱きました。これだけの映画を幼いころから見つくしていることもすごいけど、多分全部記録を取ってたんでしょうね、いつ何を見たとか、そのときどんな恐怖を味わったかなど克明に描写までしてあるのも凄い。そして、その映画の原作が書かれた背景や、映画のほうの監督が同時代のどの映画に影響を受けたかなども、深く深く掘り下げて書いていて、もうこれは「まいりました」というしかありません。
嬉しいことに、この本が発売された2011年には入手困難だった映画が、この本のおかげか?今はDVDで出直しているものも多く、けっこうな割合で見られそうです。
見たい…でも怖い…でもやっぱり見たい…
あまり血みどろではなさそうなものから、何本か見てみようと思います。
あとオマケですが、この本で取り上げられている「早春」を監督したイエジー・スコリモフスキーが、出版後の2015年に、これまたトラウマになりそうな佳作「11ミニッツ」を監督していて、トラウマ映画の歴史は連綿と作られ続けているという事実も嬉しいですね。