阿部浩一「きまじめでやさしい弱者のための「独立・起業」読本」790冊目

ビジネス書なんだけど、生きづらい人にとっての人生指針の本でもあります。「オンライン授業の教科書」とこの本、どっちが響くか。私はこっちの方がしっくりきました。

「人生はお花畑ではなく荒地である」という前提とか。この辺私の考えと同じだな。”幸せ”にならなきゃいけないと思うから、苦しくなる。友達が一人もいなくても(いるけど)、ぜいたくせず、ときどき美味しいご飯を食べたり、天気のいい日に散歩したり、好きな仕事や勉強をちょこちょこしたり、猫とのんびり暮らせることで満足する。荒地は開拓されたり、自分なりに穴を掘って住んだりされることを待っている。

私と違うのは、この著者が「自分大好き」と言い切れるところかな。私は自信がなくていつもオドオドしている。顔も体形も好きじゃない。でも、判断に迷うときは人の話を聞かないで自分を信じるのは、自分を肯定できてるからなのかもしれない、とこの本を読んで思った。

宅建とって不動産業をやる、という考えにも共感するな。私も取ろうと思ったことがある。不動産の世界には、物件がうまく回って業界が発展するのと逆に働く悪習が残ってるなと思うし、資格が絶対に必要で、ちゃんとしっかり勉強して働けば、元手が少なくてもやっていける商売だ。

生きづらさを抱える人には、感受性が鋭敏な人が多いと思う。その鋭敏さは、たとえば市場の変化に敏感だったり、人の気持ちがよくわかったりするっていう形で現れることもある。特定の分野で、その人以外よりも突出して優れた成績をあげることで足を引っ張られることもあるだろう。

この著者も本のどこかで「誰にも邪魔されないでひっそりと暮らせたら一番だけど、その方法がわからない」みたいなことを書いてたけど、そういう生きづらさを抱えた人はそう思うことが多いんじゃないかな。私はしばらく会社生活をがんばって、今はなんとか細々と”誰にも邪魔されないでひっそりと”暮らせてる。荒地を耕しに行くことはもうないかも。

…とか自分を振り返って考えてしまう本なのでした。この本を必要としている人に、なるべくたくさん届くといいなと思います。

私もやっぱり宅建受けようかなぁ…。