バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」891冊目

この本、2015年に書かれてからずっと、版を重ねながらどんどん更新されてるんだ。著者の努力が感じられます。お金の運用に関する本ってゴマンとあって私も何冊か読んだけど、これは特に真剣に調査研究した結果を冷静に分析した本だなと感じました。

何を調査研究したか?それは、過去の歴史に残る数々の”バブル”や”投資手法”の検証です。「xxx投資法」って常に新しいものが現れては消えていくけど、要は世の中の動きをしっかり予測できる人は、未来を予言できる人と同様、ほぼ存在しません。それに、株の売買やバブルって人間の欲や希望を投影するだけで、価格や相場をいくらグラフにしても、それは人間の欲望の度合いグラフでしかなく、どこに人が群がるか?を探し当てていち早く儲けることを目指す「投資法」もあてにはならないし、あまりあてにすべきではない、と理解しました。

株や債券の賢い買い方を調べ始めるとやがて「インデックス投資が結局一番だ」という話に出会います。一攫千金を目指す”投機”でなく、資産を大事に守りながら、将来の物価上昇に合わせて損をしないように増やすと考えると、本当にそうだなと思いました。ただし、①健全に物価が毎年少しずつ上昇している国の、②指標となる株を毎年分析して取捨選択している株式市場の上場株、でしか実現できないことなので、この本に書かれたことがそのまま日本の株でも実現できると思わないほうがいいわけです。

お金はほんと、できるだけ稼いで、なるべく質素な暮らしを保ち、堅実に守って増やすことで、お金の心配のない生活に近づいていけるんですね。高校生にお金の授業をするなら、まさにこういうことから教えてあげてほしいなと思います。良書でした。