読んでよかった。ずっとこの本を待ってました。
「きぼうのいえ」が話題に上るようになった頃、ちょうど私の父も認知症で入院してやがて亡くなって、無力感のせいか、私も「ホームヘルパー2級」を取ったのですが、そのときの講師に山谷で働く看護師の方がいて、彼女のなんだか聖母のようなたたずまいに惹かれて、私も山谷で働けないかと割と真剣に考えたりしました。山本さんの本も読んで、「きぼうのいえ」のウェブをその後もちょくちょく見たりしていたので、山本さんが退任したこと、その際ご本人が納得されていなかった様子だったことなど見聞きして、ずっと気になっていました。この本を読んでやっと見えなかったことが明らかになって、著者の末並さんの粘り強い取材に尊敬と感謝を表したいです。
他の団体でも、サポートしていた人がサポートされる側になった話を聞いたことがあります。人間ってずっと同じ状態ではいられない動物だから。社会も状況も変わるし。それでも、手を貸したいと思っている人っていなくならないから。山本さんのいう「愛」は地球上から絶対になくならないから。浮き沈みしながらも、あまり自分を責めないで、今できることをやっていけばいいんだと思います。