2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

鈴木大介「ネット右翼になった父」928冊目

なかなかの問題作じゃないかと思う。晩年急にネット右翼だけが使う特殊なスラングを使い始めた父を嫌悪した著者が、父の死後に「なぜそうなったのか」を調査するうちに、問いが「本当はそれほどのネット右翼ではなかったのではないか」「なぜそう思い込んで…

地球の歩き方BOOKS「世界遺産の歩き方 学んで旅する!すごい世界遺産190選」927冊目

このシリーズを何冊か読んできたけど、中でもこれはカタログや教科書的に使えそう・・・世界遺産検定や、添乗員や旅行会社を目指す人なら。私自身、旅行関連の仕事をやることはずっと考えていて、文字ばかりの本では全然イメージが湧かないので、この本なら…

柴田元幸・小島敬太 編訳「中国・アメリカ謎SF」926冊目

中国とアメリカの、新進気鋭のSF作家の短編を集めた本です。 この中では冒頭の「Shakespeare(遥控)」と名乗る作家の「マーおばさん」という作品が面白かったなぁ。脳の神経ニューロン→アメーバ→小さい生物(昆虫など)の集合、と連想してなんとなく納得し…

アレクサンドル・ベリャーエフ「ドウエル教授の首」925冊目

強烈にインパクトのある1925年のロシアSF。ざっくりいうと、遺体の蘇生を研究していた学者が、助手に殺されて実験台になり、首から上だけの状態でひそかに生き続け、助手の研究はさらにエスカレートして・・・というお話。当時はこんな未来もありうると考え…

佐藤ジョアナ玲子「ホームレス女子大生川を下る」924冊目

面白い本しか書かない高野秀行氏(このブログの常連)が激賞していたので読んでみました。さすがです。面白いものを書く人が面白いという人は本当に、腹の底から面白い。 佐藤さんは自分の蓄えてきた身一つでアメリカの郊外に留学し、お金がなくなってアパー…

ニコルソン・ベイカー「U&I」923冊目

Uってジョン・アップダイクのことか。好きだけどなぜか全部読んだ作品が少ない小説家のことを、知りもしないのにあれこれ妄想して1冊本を書いてしまった、という。やっぱりニコルソン・ベイカーって変な人だ。 でもこの本はすごく面白い。語り口がカジュア…

佐々涼子「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」922冊目

震災で東北の製紙工場が被災し、雑誌の紙のストックが印刷会社の倉庫にあと1,2ヶ月分しかない!と、取引先の出版社が紙を探して奔走してたことを覚えてます。結局、いつものクリーム色と違う真っ白な紙でその雑誌を印刷したのでしたが、その紙を使ったの…

佐々涼子「エンジェル・フライト 国際霊柩送還士」921冊目

この著者の本を片っ端から読んでます。どれも面白い。事実に忠実で、かつ、事実に忠実であろうとしている自分を偽りなく書こうとしている姿勢が誠実です。折しもAmazonプライムビデオで米倉涼子主演のドラマが放映されるそうで、表紙がドラマバージョンにな…

石原博光「まずはアパート一棟、買いなさい!最新版」920冊目

著者がご自身の考えと経験に基づくノウハウを、すごく正直に裏表なく、ウソ偽りなく、読者にシェアしてくれている本だと思いました。不動産投資に興味や経験がある人はたくさんいると思うし、アパート一棟から始めるとは限らないけど、これはどんな段階にい…

村田喜代子「百年佳約」919冊目

半島から九州にわたってきた陶工の家族たちの物語。「百年佳約」というのは、末永く添い遂げようという朝鮮半島の言葉だそうです。 去年はなぜか西九州に3度も旅行したんですよ。熊本城、阿蘇、高千穂、そして有田。有田の「内山地区」には色とりどり、形も…

門井慶喜「銀河鉄道の父」918冊目

これも「一万円選書」の一冊。映画化されると聞いて、映画を見る前に読んでしまわないと!とあわててページを開きました。 読みやすくわかりやすく、ものの2時間でするすると読んでしまった。「一万円選書」はこのように読みやすい本が多い。おそらく、本を…

村田喜代子「偏愛ムラタ美術館【発掘篇】」917冊目

敬愛する村田先生の美術もの、3冊目。書かれたのは2番目かな。【展開編】を読んだ1年前は、アートに食傷して「No art, no life」しか見なくなってた時期でした。その後、建築から再開し、最近は美術館にもたまには行くようになったけど、毎月上野に出かけて…

佐々涼子「ボーダー」916冊目

「エンド・オブ・ライフ」と続けて一気に読みました。本当にこの人の文章は読みやすく、わかりやすくて、きれいだなあ。 難民の日本での受入問題のひどさは常軌を逸していて、それが一過性の個人のいじめとかじゃなくて国家が継続的に多数の人に対してやって…

佐々涼子「エンド・オブ・ライフ」915冊目

一昨年「一万円選書」に当選した際に選んでいただいた本のひとつなのですが、図書館で予約した本は急に届いてすぐに返却期限がくるので、つい優先して読んでしまい、せっかくの一万円選書はずっと本棚で待たせてしまっていました。しかもこの本は、同じ著者…

地球の歩き方BOOKS「世界の魅力的な道178選」914冊目

「道」と一口にいってもいろいろありますが、大昔からの街道や小さな家々が連なる路地、眺めが素晴らしい道や造形が美しい橋・・・旅先で印象に残るそういう様々な「道」が178も紹介されています。 さすがにこの本は、行ったことがあるものが多いぞ・・・。…

劉 慈欣 「流浪地球」913冊目

「三体」で一世を風靡している劉 慈欣の、こちらは角川から出ている中編集。300ページほどのこの本に6編の壮大なアイデアが詰まっています。ほんとこの人、発想が宇宙級です。難しい科学の本を読んでるような難しさはあちこちにあるけど、SFですから全部つい…