川上未映子「春のこわいもの」899冊目

6つの短編が収録された単行本です。どれも面白かったけど、「くすり」と共感するには笑いがなくて、どきっとして目が覚めるという驚きもなかったかなぁ。わりと面白かったよと読み飛ばしていいんだろうか。この作者は、もっと深い、いわゆる”爪あと”を読者に残そうと思わないのかな。なんとなく、もっと心に食い込んできて、イヤな感じだけど忘れられないような作品を勝手に期待してたのかもしれません。「乳と卵」はそういう気持ちになったような気がするのでした。