ガブリエル・ガルシア=マルケス「誘拐」384冊目

面白かった!
手に汗握った!
これ実話なんですよ。コロンビアの大規模コカイン密輸業者のドンが、ジャーナリストを多数誘拐して、自分が逮捕されても家族や自分の安全を保証させるための司法取引を政府にもちかけます。実際に誘拐された人たちや家族、関係者へのインタビューを通して描く誘拐状況や監禁生活のようすが生々しい。長期の交流生活のなかで看守と被害者のあいだに不思議な友好関係が生まれていったり、司法取引という明文法的世界より"大岡裁き"に近い解決方法のために敵も味方もやっきになったりと、やけに犯罪が身近に感じられる不思議さがあります。

南米の熱い人間性と、この作家=ジャーナリストの緻密さが噛み合うと、ゾクゾクするような生が描かれます。すごく惹かれます、この世界。

誘拐

誘拐