Audibleで聴きました。これはAudibleに合います。適度に一人語りが多いラジオドラマだからか、楽しんでずっと聴けました。効果音なしの語りだけなのに、戦争の緊迫感がちゃんと頭の中に広がる。
ロシアの幼い少女が家族を撃たれ、復讐に燃える。葛藤を続けながらスナイパーとしての地位を確立し、それでも常に葛藤しながら生き延びて終戦を迎える。
ノンフィクションであるアレクシェービチ「戦争は女の顔をしていない」にかなりインスパイアされて書かれたものなんでしょうね。あの本はかなり重いと聞いていて、私はマンガ版だけ読んだのですが、絵であっても衝撃がかなりありました。この本は耳から聞いたこともあり、衝撃だけ割り引いてくれて、私にとっては受け留めやすい形になっていたと思います。
被害者としての痛みから、加害者としての痛み、つぐない。幼いときからの「自分」視点ですべて描いたから、そこがロシアであってもドイツであっても、読む人が共感できるんでしょうね。長い小説だけど、全然飽きずに楽しめました。1章の長さが均一じゃなくて、緩急がくっきりとあるのがよかったです。